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[VIYS-19-01] 食性の異なる動物における長鎖脂肪酸受容体の応答性の比較
【緒言】味覚は動物の摂食行動を制御する化学感覚であり、動物の味覚受容特性の理解は動物の摂食行動の理解や嗜好性の高い飼料開発に直結する。ヒト以外の動物は味覚を言語で表現できないが、飼料中の栄養成分と直接相互作用する味覚受容体の機能解析により動物の味覚を定量化できる可能性がある。本研究では、味覚受容体の一種である長鎖脂肪酸受容体 (GPR120)の機能解析により、食性の異なる動物の長鎖脂肪酸に対する味覚感受性を検討した。【方法】雑食動物のブタ、反芻動物のウシ、及び肉食動物のネコのGPR120をヒト胎児腎臓培養細胞に一過的に発現させ、味覚刺激に対する応答をカルシウムイメージング法により測定した。【結果及び考察】ウシのGPR120は、ブタのGPR120と比較して、20 µM以下の長鎖脂肪酸に対する応答が有意に低かった。一方、ネコのGPR120は、低濃度の長鎖脂肪酸に対してほとんど応答せず、80 µM以上の長鎖脂肪酸に応答を示した。ネコのGPR120のアミノ酸配列の一部をブタの配列に置換した改変型受容体では、長鎖脂肪酸に対する応答が改善した。本研究結果から、動物種に応じて長鎖脂肪酸に対する味覚感受性が大きく異なることが示唆された。また雑食動物のブタは高感度の長鎖脂肪酸受容体を有し、長鎖脂肪酸は特にブタの飼料の嗜好性に寄与する可能性が考えられた。