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[VIYS-19-02] 豚のジストロフィン異常症の病理学的解析と断尾端を用いた生前検査法の確立
【背景】豚において臨床症状は明らかではないが、枝肉検査時に脂肪浸潤ならびに褪色により廃棄対象となる事例がある。これらの筋変性病変にはジストロフィン遺伝子変異による病変が含まれる。【目的】①ジストロフィン異常症の病態解明ならびに②本疾患の生前検査法を検討した。【方法】①肉眼的にジストロフィン異常症を疑った個体について、病理学的検査、ジストロフィン免疫染色、遺伝子検査を実施した。②ジストロフィン変異保因家系1家系、保因の疑いがない2家系を対象とした。生後1~3日に断尾を実施し、断尾端について病理学的評価、免疫染色を行い、保因/非保因を判定した。保因家系は1ヶ月齢で剖検し、骨格筋における保因判定結果を断尾端での結果と比較した。【結果】①提供部位は薄筋が最多であった。症例では筋線維間への脂肪浸潤、筋線維の変性壊死、再生が観察された。免疫染色では、ジストロフィン陰性の筋線維が混在していた。病態への関与を疑う遺伝子変異を複数検出した。②保因家系での断尾端を用いた変異判定は、骨格筋における判定結果を基準とすると、感度82%および特異度88%であった。【考察】①免疫染色結果より、本疾患はベッカー型筋ジストロフィーに類似した病態であると考えられた。②本来廃棄される断尾端を用いることで変異保因豚の検出が可能であった。変異部位が多様なため、保因豚検出には遺伝子検査よりも免疫染色が有用であると考えられた。