日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅳ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:15 第VI会場 (5番講義室)

座長:磯部 直樹(広大院生物圏)、白石 純一(日本獣医生命科学大学)、西村 正太郎(九大院農)、喜多 一美(岩手大学)

09:45 〜 10:00

[VIYS-19-04] 3D可視化技術を用いたニワトリ盲腸扁桃の形態形成機序の解明

*久松 基史1、平川 良太1、前川 紗佳子1、古川 睦実1、野地 智法1 (1. 東北大学大学院農学研究科)

【目的】
 鶏腸管には、T細胞やB細胞などのリンパ球が集積した腸管関連リンパ組織(GALT)が複数発達している。幼若雛の腸管免疫機能の向上を目的とした飼養管理技術を開発するには、主要な鶏GALTである盲腸扁桃の形成機序を正確に理解する必要がある。そこで本研究では、3D構築用ソフト(Amira)を用いて、孵化後の盲腸扁桃におけるリンパ球の局在変化を立体的に解析することで、形成機序の詳細を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 1、3、5、7週齢の雄肉養鶏から盲腸扁桃を採材・固定し、薄切した。連続切片をB細胞やT細胞を標的とした免疫組織化学染色に供し、得られた2次元画像からAmiraを用いて各細胞領域を立体再構築した。また、B細胞の成熟分化領域である濾胞構造の数や体積を同ソフトで算出し、各週齢間で比較した。
【結果および考察】
 1週齢の盲腸扁桃では、B細胞やT細胞は筋層側に局在し、濾胞も筋層側にのみ発達していた。その後、1-3週齢にかけて各細胞領域は筋層側から管腔側へと急激に拡大し、同時期には管腔側でも濾胞の形成が認められた。さらに、3週齢以降は筋層側および管腔側に発達する濾胞が肥大化し、機能成熟することが明らかになった。以上から、盲腸扁桃は①B細胞/T細胞領域の拡大、②濾胞の形成、③濾胞の肥大化といった一連の過程を経て機能成熟するため、各週齢特有の形成プログラムが働いていることが推察された。