日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境・動物介在・畜産経営

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第X会場 (34番講義室)

座長:宮竹 史仁(帯広畜産大学)、鍋西 久(北里大獣医)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、林 英明(酪農大獣医)

09:30 〜 09:40

[X-20-04] 畜舎に生息するクモ類とその被食生物の調査

*青山 真人1、武田 浩輝1 (1. 宇都宮大農)

【緒言】家畜を飼養管理している畜舎には多数のクモ類が生息しており、多くの家畜害虫を捕食していることが考えられる。本研究では、栃木県にある宇都宮大学において管理している畜舎におけるクモ類の調査を行なった。 【材料と方法】真岡市に位置する宇都宮大学附属農場内の4つの畜舎 -乳牛舎、肉牛舎、2棟の中型家畜舎-、さらに宇都宮市に位置する宇都宮大学馬術部厩舎の、合計5つの畜舎を対象とした。調査は2019年3月~2020年1月の期間行なった。クモ目に属する生物を目視で探索し、発見できた個体についてその種を記録した。また、各月1回、中型家畜舎の南側の窓枠に設置したトレー(長さ800 cm、幅10 cm)を置き、窓枠に張られた網から落下した1週間分の捕食済みの捕食生物を採集し、その種を同定した。 【結果と考察】本研究において確認できたクモ目の種類は49種(15科、41属)であった。特に個体数が多かったのはイエオニグモとジョロウグモであり、イエオニグモは畜舎内で、ジョロウグモは畜舎の外に多く分布していた。豚舎内で採集された捕食生物で確認できたものは、7目、41科であった。特にハエ目の昆虫がよく捕食されており、アブやサシバエなど、家畜害虫の捕食も確認できた。これらのことから、畜舎には多くの種のクモ類が存在していること、また、家畜害虫となる昆虫を多く捕食していることが明らかとなった。