日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境・動物介在・畜産経営

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第X会場 (34番講義室)

座長:宮竹 史仁(帯広畜産大学)、鍋西 久(北里大獣医)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、林 英明(酪農大獣医)

10:00 〜 10:10

[X-20-07] 生体センシングによる分娩予定牛のモニタリング

*小松 陽子1、表 雄一郎2、平田 和則2、松原 達也3 (1. 東洋紡、2. 東洋紡STC、3. 岐阜大学)

近年、生体センシングを利用して牛の飼養管理にかける労力を減らす試みが進んでいる。労力がかかる管理のひとつとして分娩の介助を行うための周産期の観察があげられる。本研究の目的はウェアラブル心拍計により分娩予定牛の心拍と加速度を計測し、分娩予知システム開発につながる分娩直前の心拍の特徴を見出すことにある。
フィルム状導電素材COCOMI®(東洋紡株式会社)からなる電極と配線を備えた帯を黒毛和種妊娠牛の胸部周長方向に巻き、加速度計と心拍計を備えたウェアブル心拍センサを帯に取り付け、無人で牛の加速度と心拍を計測した。監視カメラでの牛の行動観察では、牛舎内が無人となると牛が臥位となる時間帯がみられた。臥位になると、3軸加速度の変動が小さくなり、3軸加速度の変動から臥位姿勢の推定が可能であった。また、臥位時間帯の心拍数は、それ以外の時間帯の心拍数よりも小さくなる傾向がみられた。このことから、牛の場合も姿勢が心拍数に影響することが示唆された。妊娠牛2頭について、分娩予定日前10日間の推定臥位時間帯の心拍数を分娩約1カ月後と比較すると、分娩前は分娩後よりも1.5~2.1倍心拍数が大きかった。さらにこのうち1頭について、分娩を誘発させるプロスタグランジンF2α投与後に推定臥位時間帯の心拍数が大きくなる傾向がみられた。今後、データを蓄積することで、牛の高精度な分娩予知システム開発につなげたい。