日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境・動物介在・畜産経営

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第X会場 (34番講義室)

座長:宮竹 史仁(帯広畜産大学)、鍋西 久(北里大獣医)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、林 英明(酪農大獣医)

11:00 〜 11:10

[X-20-12] ウシの社会的順位が固形塩摂取行動に及ぼす影響

*粂 寛彦1、佐藤 薫2、深澤 充1、小倉 振一郎1 (1. 東北大院農、2. 日本全薬工業)

【目的】ウシの飼養にはミネラル補給のため固形塩が広く用いられているが,その利用は個体間で大きく異なることが知られている。本研究では,舐塩時間の個体差に関わる要因として社会的順位(DV)に着目し,黒毛和種成雌牛の群を用い,DVが舐塩時間に及ぼす影響を調査した。【方法】調査は2022年6月28日-7月20日の23日間実施した(機材トラブルで3日間のデータは除外)。黒毛和種成雌牛19頭に5 kgの固形塩(鉱塩セレニクス)を2個給与し,各個体の舐塩行動および敵対行動の観察を行った。ビデオ撮影により各日で個体毎の舐塩時間を測定し,個体毎に期間中の平均舐塩時間(LT:秒/日)とその変動係数(CV)を求めた。直接観察により全個体ペアについて敵対行動を観察し、勝敗から3指標(勝率平均,成功指数,総勝数/総負数)で各個体のDVを算出した。その結果から,DVおよびLTそれぞれの順位に基づいて牛群を上位6頭,中位7頭,下位6頭に区分した。DVとLTおよびCVとの相関を求めた。【結果】LTはその順位区分間で有意に異なり,最も長い個体で1124.3±576.2秒/日,最も短い個体で17.9±59.4秒/日であった。日間変動はDV下位で大きい傾向があったが,CV-DV間に有意な相関は無かった。DV-LT間に有意な相関はなかったが,DV上位はLT中位に多く分布し,DV下位はLT上位および下位に多く分布していた。