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[X-20-13] 夏期放牧における雌雄混成ヤギ群の階層型休息舎と床下の利用
【目的】ヤギ糞を簡便に回収するための階層型休息舎に関する前報では、雌雄混成時の場合には雌のみ時よりも階層型休息舎の利用を高められる可能性を報告した(第20回全国山羊サミット)。本報では、構成個体が異なっても同様の効果が得られるかを追試するとともに、休息舎の床下利用を調査した。【方法】前報と同じ放牧地に2018年5~11月にかけて10頭のザーネン成ヤギを放牧して試験を実施した。去勢雄(3頭)と雌(7頭)の比率は前報と同じだが、去勢雄1頭と雌3頭は新規の個体に入れ替えた。センサーカメラにより毎月10日分の群による休息舎の利用を各階ごとに把握するとともに、本報ではカメラを増設して休息舎床下の利用も把握した。【結果と考察】階層型休息舎の群による利用時間は1階で888分、2階で968分といずれの階も前報より高く、群の約半数の個体を入れ替えても雌雄混合の効果は確認できた。床下の利用は全期間を通して平均205分程度確認され、その多くは社会順位が中~下位の無角雌による利用であった。群での床下利用時間は最優位の去勢雄の1階利用時間との間で有意に相関した(r = 0.51,p < 0.01)。劣位個体が床下を利用せざるを得ない状況を改善するためには、優位な去勢雄の2階利用を高める、もしくは2階利用の高い去勢雄が最優位となるようメンバーを選抜することが有効と考えられる。