11:30 〜 11:40
[X-20-15] 黒毛和種肥育牛の毛中コルチゾル濃度の季節変動
【目的】コルチゾル(糖質コルチコイド)は副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンであり、ストレス反応時にも分泌される。そのため、動物のストレスの生理指標として幅広く利用されている。しかし、血液では採血自体が動物のストレス反応を引き起こし、また糞や尿は日内変動の影響を受けるため、慢性ストレスの評価には不向きである。そこで、黒毛和種肥育牛の生育環境が及ぼす慢性ストレスを調べるため、個体の毛中に蓄積されるコルチゾル濃度を測定した。【方法】JA飛騨ミート(岐阜県高山市)に2022年8月~2023年4月までの期間に搬入された肥育牛512個体を供試個体とした。尾の先端にある尾房の毛の一部を根本から約 5 cm採取し、1 g分をコルチゾル濃度の測定に用いた。コルチゾル濃度は酵素免疫測定法によって測定した。【結果と考察】毛中コルチゾル濃度に対し採取月の影響が統計学的に有意(p<0.05)であり、9月搬入個体で最も低く12月搬入個体で最も高かった。測定に用いたウシ尾毛には直近3ヶ月分のコルチゾル分泌が反映されており、暑熱ストレスなどの影響を反映している可能性が考えられた。