日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境・動物介在・畜産経営

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第X会場 (34番講義室)

座長:宮竹 史仁(帯広畜産大学)、鍋西 久(北里大獣医)、森田 茂(酪農学園大農食環境)、林 英明(酪農大獣医)

11:40 〜 11:50

[X-20-16] 再現性を改善したウシの血中ビタミンA濃度の簡易分析システムの開発

*岩﨑 渉1、森田 伸友1、横石 里紗2、井上 哲郎2、三木 聖雄3 (1. 産総研SSRC、2. 長崎農技セ、3. ウシオ電機)

和牛の肥育において、脂肪交雑等級の高い枝肉を生産するために血中ビタミンA量を制御する肥育方法が行われている。しかし、従来の血中ビタミンA分析手法では採取した血液に複数の前処理を行い、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定する必要があるため、専門的な技術や高価な装置が必要であり、肥育の現場で実際に血中ビタミンA濃度をモニタリングすることは困難である。我々はこれまでに全血をノルマルヘキサンと混合してビタミンAを抽出し、抽出相を蛍光分析する簡易分析技術を開発してきた。しかし、この方法ではノルマルヘキサンと血液の撹拌を進めるためにボルテックスミキサーで激しく10分間撹拌することが必要であったが、ボルテックスミキサーで10分間安定して再現性良く撹拌することが難しく、測定結果の再現性を得ることが難しかった。 そこで本研究では血液をリン酸緩衝生理食塩水で希釈し、粘性を下げることでノルマルヘキサンと混合しやすくすることにより、シェーカーを用いた水平方向のみの撹拌でも抽出を行うことに成功した。これにより、再現性良く抽出することに成功した。この手法により農家で肥育されている黒毛和牛の去勢牛98頭(10~28カ月齢)の血中ビタミンA濃度をモニタリングしたところ、HPLCを用いた標準手法で測定した結果と高い相関が得られた(相関係数0.94)。