日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境・動物介在・畜産経営

2023年9月20日(水) 13:00 〜 15:10 第X会場 (34番講義室)

座長:松浦 晶央(北里大学)、安江 健(茨城大学)、清水池 義治、廣岡 博之(京大院農)

13:10 〜 13:20

[X-20-18] 採卵鶏の生体機能と生産性に及ぼす飼養形態の影響に関する研究

*庄子 岳1、栃内 亮太1、関澤 信一1、桑原 正貴1 (1. 東大院農生命)

【背景と目的】 採卵鶏を含めて飼養形態の違いが生体機能や生産性に及ぼす影響に関しては、アニマルウェルフェアの観点からも関心の高い課題である。しかしながら、生体機能と生産性を含めて総合的に評価を実施した研究はほとんど行われていない。そこで、本研究では3種類の(バタリーケージ、エンリッチドケージおよびエイビアリー方式)飼養形態による採卵鶏の生体機能と生産性に及ぼす影響について検討を行った。 【方法】 採卵鶏の飼養管理方法として、使用したケージ以外の一般的な作業は同一とし給餌や集卵は点灯時に行った。生産性の指標として、産卵率、飼養要求率、卵重および卵質に関する項目について評価した。生体機能に関しては、予めテレメトリー送信機を埋入した採卵鶏を用意し、心拍数、体温、活動量および心電図記録から心拍変動解析を行い自律神経系機能に関して評価した。 【結果と考察】 生産性に及ぼす影響として、産卵率はエイビアリー方式群が他の2群と比べて低く、飼養要求率は高い傾向を示した。卵重と卵殻強度に関してはエンリッチドケージ群が他の2群よりも低かった。生体機能に関しては、バタリーケージ群で心拍数、体温および活動量ともに他の2群と比較して低く、心拍変動解析において副交感神経系機能を反映する指標であるHF値が高かった。以上の結果から、飼養形態の差異は採卵鶏の生体機能や生産性に多少ではあるが影響を及ぼしている可能性が示唆された。