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[XI-20-04] 豚肝臓懸濁液における亜鉛プロトポルフィリンIXの形成はなぜ酸素により阻害されないのか?
【目的】亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)は、発色剤無添加の食肉製品に鮮やかな赤色をもたらす。骨格筋では、ZnPPは内在性のフェロケラターゼ(FECH)により嫌気的条件下でのみ形成される。一方、肝臓のZnPP形成能は骨格筋よりも高く、酸素により阻害されなかった。FECHは酸素で不活化されるため、好気的条件下での肝臓におけるZnPP形成はFECHに依存しない可能性があるが、これは実証されていない。そこで本研究では、好気的条件下での肝臓におけるZnPP形成へのFECHの関与を検討した。【方法】ZnPP形成モデルとして、20%豚肝臓懸濁液に抗生物質を添加して好気的にインキュベートした。アセトンでZnPPを抽出し、その自家蛍光強度を形成量とした。FECHの寄与は、その阻害剤を懸濁液に添加して評価した。【結果】 ZnPPの形成は、FECH阻害剤の添加により阻害された。また、懸濁液内部が絶えず酸素に触れるように振盪しながらインキュベートすると、ZnPP形成が著しく阻害された。これらより、静置でのインキュベートでは、好気的条件下でも懸濁液内部の溶存酸素が消費されることで、FECHの活性が保たれZnPPが形成されることが示唆された。加えて、ZnPP形成の温度依存性が嫌気的条件のものとは異なっていたことから、好気的条件下でのZnPP形成は、温度により変化する酸素消費速度の影響を受けると推察された。