日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

09:50 〜 10:00

[XI-20-06] 野生鹿肉のLatilactobacillus sakei No.23株による発酵性と鹿肉製品特性の検討

*毛利 彩紀1、水野谷 航1、竹田 志郎1 (1. 麻布大院獣)

【目的】乳酸発酵は食品の保存性向上と生理活性を付与させる効果が知られている。本研究では野生鹿肉の乳酸発酵用スターター菌株の探索と選抜した菌株を用いた発酵鹿肉製品の特性を検討した。
【方法】衛生的にトリミングした長野県小諸市産鹿モモ肉塊に滅菌したグルコース、NaCl、NaNO2を添加後、ホモジナイズ処理を行い、衛生的塩漬鹿肉モデルホモジネート(鹿肉ホモジネート)を作製した。乳酸菌は市販の食肉用乳酸菌スターター、研究室保有株などを用いた。各乳酸菌を鹿肉ホモジネートに植菌し、pH、乳酸菌生菌数、乳酸濃度、生理活性としてACE阻害活性とDPPHラジカル消去(DPPH-RS)活性を評価した。選出した菌株で作製した発酵鹿肉製品のpH、水分活性、水分含量、色調、剪断力価、各種細菌の生菌数、ACE阻害活性およびDPPH-RS活性を測定した。
【結果】供試菌株のうちLatilactobacillus(L.)sakei No.23株添加の鹿肉ホモジネートは、乳酸菌生菌数の増加、pHの低下、高い乳酸濃度およびACE阻害活性とDPPH-RS活性を示した。発酵鹿肉製品では、L.sakei No.23株添加区は乳酸菌無添加区よりも製品pHと水分活性が低下し、ACE阻害活性とDPPH-RS活性を示した。L.sakei No.23株は発酵鹿肉製品の保存性向上と生理活性発現に寄与し、有用な乳酸菌スターター菌株だと考えられた。