10:20 〜 10:30
[XI-20-09] 黒毛和種牛肉に適した「匂い」評価用語の分析型官能評価を用いた検証
【目的】脂肪交雑の高い黒毛和種牛肉は「甘い」匂いがするとされており、「甘い」匂いを評価する指標や技術の開発が進められている。他方、脂肪交雑の高い牛肉の匂いを特徴付ける用語として「甘い」が妥当かどうか、他に妥当な用語は無いかという点について、用語選択などによる検証が十分とは言えない。そこで演者らは、黒毛和種牛肉の「匂い」評価に適した用語はどのようなものか、黒毛和種等の種々の牛肉を対象とした記述的分析型官能評価を行い検証した。【方法】黒毛和種(3産地)、交雑種、ホルスタイン種、米国産、豪州産の合計7種類の牛胸最長筋を4 mm厚にスライスし、180℃に設定した精密ホットプレートで表裏両面を30秒ずつ焼き官能評価に供した。被験者は選抜と訓練を受けた11名とし、1サンプルあたり15の「匂い」評価用語についてそれぞれ強度を評価させた。【結果】15の評価用語のうち13語において、牛肉の種類により強度が有意に(P<0.05)異なった。黒毛和種肉は輸入牛肉と比較して「けものくさい」「血の臭い」の強度が低い一方、「バター臭」「フルーティー」「油くさい」「甘い」の強度が高かった。また、黒毛和種牛肉において産地間での「匂い」の違いは認められなかった。黒毛和種牛肉の特徴的な「匂い」評価用語としては、「甘い」の他にも適した用語があり、「匂い」の評価や育種改良指標として活用しうると考えられた。