日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

11:20 〜 11:30

[XI-20-15] 加齢時の低タンパク質栄養改善における食肉摂取の有効性

*江草(雜賀) 愛1、西田 果穂1 (1. 日本獣医生命科学大学)

【目的】我々はこれまでに高齢者の低栄養状態における食肉摂取の有効性を検証するため、雄性の加齢マウスを用いて、低タンパク質栄養下での給餌飼料の違いによる筋重量と運動機能について調べてきた。しかし、骨格筋代謝には性差があることが知られていることから、今回は同条件で雌性マウスを用いた検討を行った。【方法】70週齢の雄性マウスを5群(n=4)に分け、対照群にはAIN93Mを、残りの群にはAIN93Mのタンパク質を3%に制限し、タンパク質と脂質部分を大豆、豚肉あるいは牛肉由来に置き換えて2週間自由摂餌させた。その間、握力計と強制回転カゴを用い、瞬発力と持久力を測定した。試験期間終了後に麻酔下で安楽死させ、各組織を採材した。【結果】瞬発力では、牛肉群で大豆群に比べて約10%の有意な高値を示した。また、持久力については、雄性マウスほどの違いには至らなかったが、食肉摂取群で走行距離が延びた。一方、腓腹筋や長趾伸筋の重量については、雄の場合と異なり、大豆群で20%ほどの有意な増加が認められた。エストロゲンはエストロゲンレセプターβを介して筋線維の発育や筋幹細胞の増殖を促進することが報告されている。今回、精製大豆タンパク質中に含まれるエストロゲンが大豆群の筋重量の増大に繋がったと考えられた。一方で、運動機能における食肉摂取群の優位性については、更なる検討が必要になると考えられた。