日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

11:30 〜 11:40

[XI-20-16] 食生活における価値観や動物福祉意識が培養肉の購買意向に及ぼす影響

*長命 洋佑1 (1. 広大院統合生命)

【目的】近年、畜産では持続可能な生産が重要となり、家畜のふん尿による窒素やリンの産生、ウシなどの反すう動物の消化管からのメタン産生など、家畜由来の環境問題が社会問題として大きく取り上げられるようになってきた。そうした中、これらの解決策として、家畜の細胞を培養したものを原料とする食品(培養肉)などに対する注目が集まっている。本研究では培養肉に対する消費者意識の解明を行うことを目的とする。その際、食生活における価値観・行動意識および動物福祉意識について考慮したうえで、培養肉普及の可能性について検討を行う。【方法】本研究では、1,109名に対してWebアンケート調査を実施し、消費者の属性、食への志向、消費者価値観および動物福祉意識、培養肉への支払意志額について調査し、一般化線形モデルを用いて分析を行った。【結果】食への志向では、経済性を志向している消費者ほど支払意志額が低かった。食生活における価値観・行動意識では、4つの主成分が抽出され、好奇心を持っているほど支払意志額が高く、原材料や産地を確認する消費者、低価格指向の消費者ほど、支払意志額が低いことが明らかとなった。また、動物福祉意識に関しては、2つの主成分が抽出され、家畜生産に対する抵抗意識が高い消費者ほど、支払意志額が高まることが示された。