日本畜産学会第131回大会

講演情報

口頭発表

5. 畜産物利用

畜産物利用

2023年9月20日(水) 09:00 〜 11:50 第XI会場 (35番講義室)

座長:佐々木 啓介(農研機構畜産研究部門)、若松 純一(北海道大学)、今成 麻衣(農研機構九州沖縄農業研究センター)、上田 修司(神戸大学大学院農学研究科)、前田 尚之(酪農学園大学)

11:40 〜 11:50

[XI-20-17] シロアリを摂取したニワトリの鶏卵に対する喫食意思に影響を与える心理的要因について

*中村 颯一郎1、塚原 洋子1、長命 洋佑2、熊谷 元1、広岡 博之1 (1. 京大院農、2. 広島大院統合生命)

【目的】家畜飼料の新規タンパク源として昆虫の飼料利用が検討されている。本研究ではシロアリを含む飼料(シロアリ飼料)の給与で生産された鶏卵に対する消費者の喫食意思について調査し、それに影響を与える心理的要因について分析した。【方法】日本人消費者998名に対してオンラインでアンケート調査を行い、消費者の属性、シロアリ飼料を用いて生産された鶏卵に対する喫食意思、その喫食意思に影響を与えると考えられる7つの心理的要因について調査した。心理的要因は項目ごとに主成分分析を行い、各主成分が喫食意思に与える影響について、男女別に共分散構造分析を行った。【結果】抽出された主成分のうち嫌悪感、シロアリ飼料への印象が喫食意思に強く影響した。シロアリ飼料を用いて生産された鶏卵に対する喫食意思に対しては、男女ともに嫌悪感が最も強く影響し、その影響は男性よりも女性で強かった。また男女ともにシロアリ給与に好印象を持つものほど喫食意思の高い傾向が認められた。一方でシロアリに機能性成分が見つかった場合、男女ともに嫌悪感の影響は弱まり、またシロアリ飼料の給与に好印象を持つほど喫食意思の高いことが示された。さらに機能性の有無に関わらず男性よりも女性の方が、他人の喫食に同調して喫食意思の高まることが示された。今後、昆虫の飼料化にはアンケート調査により消費者の意識を的確に把握することの必要性が示された。