日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅲ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:15 第XI会場 (35番講義室)

座長:岡田 幸之助(日本獣医生命科学大学)、武田 久美子(農研機構畜産部門)、澤井 健(岩手大学)、古田 洋樹(日本獣医生命科学大学)

09:30 〜 09:45

[XIYS-19-03] OPUにおける供卵牛の栄養状態と卵子品質との関係

*中 美博1、藤森 康一郎2、山崎 淳1、鍋西 久1 (1. 北里大院獣、2. フジモリ牛群サポート)

【目的】効率的な胚生産技術であるOPUは、今後さらに需要が増加していくと考えられる。移植可能な体外胚をより多く作出するためには、高品質卵子をより多く採取することが重要であり、それは供卵牛の栄養状態に左右されるものと推察される。しかし、高品質卵子をより多く採取するための供卵牛の栄養管理技術に関する知見は見当たらない。そこで本研究では、OPUで採取される卵子品質と供卵牛の栄養状態との関連を検討した。【方法】青森県内の民間牧場にて実施されたOPU述べ138回(実頭数52頭)を試験対象とした。採取した血液と卵胞液の生化学分析と遊離アミノ酸分析を実施し、卵子の品質(グレード1~グレード4)と採取卵子数に占めるグレード1の割合(良質卵子率)との関係を検討した。【結果】良質卵子率が高いほど胚盤胞発生率が高くなる傾向が認められ、血液生化学成分と卵胞液生化学成分には有意な正の相関が認められた。生化学成分およびアミノ酸と良質卵子率との関係では、NEFA、 Ala、3-MHにおいて有意な負の相関が認められた。また、OPU前の日平均THIと良質卵子率との間には正の相関が認められ、特にOPU前100~80日における関係性が高かった。以上より、エネルギー不足が卵子品質の低下に影響すること、OPU前の熱環境が良質卵子率に強く影響することが明らかとなった。これらの知見は、人工授精成績の改善にも糸口を与える。