日本畜産学会第131回大会

講演情報

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表Ⅲ

2023年9月19日(火) 09:00 〜 10:15 第XI会場 (35番講義室)

座長:岡田 幸之助(日本獣医生命科学大学)、武田 久美子(農研機構畜産部門)、澤井 健(岩手大学)、古田 洋樹(日本獣医生命科学大学)

09:45 〜 10:00

[XIYS-19-04] 帝王切開後の母豚に多発する無発情の原因探索について

*渡邊 健太1、杉本 智明1、村木 英二2、鈴木 香澄1、吉岡 豪1、傍島 英雄1、清水 雅範1 (1. 岐阜畜研、2. 岐阜県農業大学校)

【背景】プライマリーSPF豚造成の際、母豚の反復利用可能な帝王切開法が選択されるが、術後に約3割の母豚が無発情を呈し、非生産日数が延長することが報告されている。本研究では、この原因を解明するため、術後に無発情を呈した豚の経過観察結果について報告する。【方法】デュロック種の雌豚(28ヶ月齢)1頭を用いて、術前4日から術後36日まで経時的に採血し、性ホルモン濃度(17βEstradiol,Progesterone)と血球計数を測定した。また、発情の有無、母豚の体調及びと畜時(術後47日目)の卵巣を観察した。【結果】後産は術後2日目のみ観察された。悪露は術後3〜21日目に間欠的に観察された。白血球数は術前3日間に比べ、術後20日に高値を示した。17βEstradiol濃度は術後2~24日目に8.5±2.6pg/mlであったが、術後25〜26日目に17.7±0.7pg/mlに上昇した。Progesterone濃度は術後1~28日目に3.5±1.3ng/mlであったが、術後36日目に17.8ng/mlに上昇した。調査期間中に発情を認めなかった。と畜時の卵巣で黄体を認めた。【考察】性ホルモン動態、発情観察及び卵巣状態から鈍性発情であると考えられ、術後に生じた子宮内の炎症が発情の外部兆候を抑制したことが示唆された。このことから、子宮内の炎症を抑えることが非生産日数の短縮につながると考えられる。