日本機械学会 2021年度年次大会

【一般公開イベント】学会横断テーマ/学会連携企画

・聴講無料
・事前登録不要(↓から閲覧できます)

2021年9月6日(月)13:00~16:00

学会横断テーマ『少子高齢化社会を支える革新技術の提案』

~少子高齢化社会の課題を解決する新しい機械工学の創成~

閲覧用YouTubeリンク: https://youtu.be/wc-5LZUN7O8
(医工学テクノロジー推進会議 協力)
 総合司会 佐久間一郎(東京大学)
 <介護福祉> 司会 松日楽信人(芝浦工業大学)
1.看護理工学におけるケアイノベーション  真田弘美(東京大学大学院医学系研究科)
COVID-19が我々看護師を奮い立たせたのは、自分への感染を恐れながらも患者の命を守るという使命感にほかならない。特に重篤な状況にある患者には療養生活すべての支援が必要となり、看護師は患者との接触は避けることはできない。この状況から我々は多くを学んだ。今後求められるリモートナーシングである。24時間傍にいる看護から、いかに人流を減らす看護技術を開発するか。今後の看護と工学、特に機械工学との連携について、事例をもとに述べる。
 
2.あたり前のことを知る -福祉工学シンポジウム2007、ニーズ&アイデアフォーラム等から-  小野栄一(国立障害者リハビリテーションセンター)
「あたり前のことを知る」は、日本機械学会福祉工学シンポジウム2007のメインテーマです。このとき、実行委員36人中、本学会会員は6名ほどで、赤字覚悟のシンポジウムは黒字でした。ニーズ&アイデアフォーラムは、医療・福祉系、デザイン系、工学系の学生が協働作業で障害者のニーズを探り、解決案を形にして発表します。昨年度はコロナ禍で福祉施設見学もできず、オンラインで進め、発表会まで一同集まらなかったのに作品ができました。何故できたか?創成の源は?
 
<医学と音声言語学> 司会 和田成生(大阪大学)
1.構音障害リハビリテーションAI構築のためのロードマップ ~構音メカニズムの解明~  野崎一徳(大阪大学歯学部附属病院)
構音メカニズムの知識をAIに与え患者個人に最適化された構音障害リハビリテーションの方法論構築を目指している。構音障害は音素単位で発生し個人によってその特徴も異なる。この課題に対して、構音障害を生じさせる物理的因子を空力音響学的に解析するアプローチをとった。特に構音の問題が生じやすい[s]音の発生に必要な物理的条件について明らかになりつつある。機械学習的アプローチと協調することにより、構音障害リハビリテーション技術へのロードマップを提示する。
 
2.様々な顎口腔系ロボットの開発  高西淳夫(早稲田大学理工学部)
発話、咀嚼、消化、送気・吸気、破砕・固定、楽器吹鳴、愛情表現など、口の役割は多岐に及んでいる。演者らは、ヒトの咀嚼における顎運動の再現を目的とした咀嚼ロボットを開発し、噛み方による咀嚼効率の違い、噛み締め時の顎骨歪分布の計測などを実現した。その知見は、顎関節症の無痛開閉口訓練ロボット、発話ロボット、吹鳴楽器演奏ロボット、オーラルマッサージロボット、気道管理訓練ロボットなどの開発にも結び付いている。
 
<先端医療> 司会 安藤健(パナソニック)
1.医工融合産学連携によるスマートロボットAIRECの開発  村垣善浩(東京女子医科大学)
少子高齢化社会の課題に、介護含めた医療人材の不足がある。我々は、一人に一台一生寄り添うスマートロボットの開発を内閣府ムーンショット事業で開始した。家事から介護そして看護医療まで可能な汎用型ロボットである。深層予測学習によって効率的かつ低リスク行為を行い、2050年には自動手術や自動治療を目指す。本事業を紹介するとともに、スマート治療室開発での医工・産学連携の経験や今後の在り方について述べる。
 2.医療用ロボットの現状と今後の展望  橋本康彦(川崎重工業)
産業用ロボットが発展してきた歴史、産業用ロボットと医療用ロボットの市場、様々な分野でロボットが利用されている事例を説明し、産業用ロボットで培われた技術を活用して医療用ロボットhinotoriを開発した事とhinotoriの概要を紹介する。更には医療用ロボットにAIやIoT(5G)の技術を組み合わせた将来の医療の形を提言し、医療用ロボットが医療問題を解決する一助になる未来の姿を示す。
 
<パネルディスカッション>  モデレーター 佐久間一郎(東京大学)
上記講師6名により、研究を産業化するうえでの課題と、その解決のために機械工学分野が取り組むべきこと、その結果として創成される新たな機械工学について考える。


2021年9月7日(火)13:00~15:00

学会横断テーマ『持続可能社会の実現に向けた技術開発と社会実装』
-将来エネルギー技術選択と機械技術者に対する期待-

閲覧用YouTubeリンク: https://youtu.be/upWIsr7yXbk
[開催趣旨]
パリ協定を踏まえ、我が国は「温室効果ガス排出を2050までに実質ゼロを目指す」と謳いました。難しい課題ですが、視点を変えるならばエネルギー自給のほか、資金の自国内循環による経済活性化にもつながる可能性があります。この緊急かつ重要で難解な課題について考えていくためには、広範な技術分野だけでなく経済の側面も含めた文理融合的な連携が必要です。
今回はその最初のフォーラムであり、2050年を見据えた幅広い視点で、今後選択すべき技術の方向性について講演をいただくものです。条件により様々に選択肢が変化する曖昧なテーマですが、ゴールを見据えた将来社会像から逆算して論じるならば、選択肢は概ね見えてくるものと期待されます。 

[プログラム]
(1)2050年カーボンニュートラルに向けて  末広 茂(日本エネルギー経済研究所)
新たに策定される「エネルギー基本計画」の概要を中心に、2050年カーボンニュートラルに向けた施策や課題などを解説します。加えて、基本計画改定に向けた審議会での議論内容や定量分析の結果などについても紹介いたします。
(2)エネルギーシステムインテグレーション -電力・エネルギーシステムの変容-  荻本 和彦(東京大学生産技術研究所)
地球温暖化ガスの排出削減の野心的な目標の達成には、現在確立しつつある技術に加え新たなイノベーションの大規模な社会実装を必要とします。電力・エネルギーシステムの変容の中で、確立した技術そして新たな技術の適用による目標達成の可能性について議論します。
(3)脱炭素社会実現に向けた運輸部門の将来ビジョン  松橋 啓介(国立環境研究所)
2050年に脱炭素社会を実現するため、自動車の新車は2035~2040年頃にはすべて電動車両にする必要があるとされています。カーボンニュートラルの条件を満たす技術選択と交通行動選択のバランスについて議論いたします。 
(4)全体討論 (30分)
講演をベースとしてエネルギーの将来像について意見交換するほか、機械技術者に対する期待についてもお話しいただく予定です。


2021年9月6日(月) 9:00~12:00

学会横断テーマ『機械・インフラの保守・保全、信頼性強化』
~DX社会は機械学会に何を望む?~

(土木学会・日本非破壊検査協会 協賛)
閲覧用YouTubeリンク: https://youtu.be/T1MAceW0etQ
挨拶:井原郁夫(長岡技術科学大)
司会:冨澤 泰(東芝)、有坂 寿洋(日立アカデミー)
プログラム:
(1)DX社会における人と機械の新たな関係、保守・保全に関わる事例を交えて  野中洋一(日立製作所)
コロナ禍によりリモート、タッチレスのニーズが急拡大しただけでなく、環境、安心安全、レジリエンスの確立に向け、社会そのもの、人間のQoL まで含めたDXが求められている。人と機械の新たな関係について、Industrie4.0提唱者らと共にドイツ工学アカデミーacatech でプロジェクトを起こして日独有識者で1 年間議論を重ね、Discussion Paperとして日独から出版し、現在、更に議論を続けている。
(2)民間航空機の型式認証と信頼性 ~ DX化への課題  森本哲也(JAXA)
民間航空機の型式証明では「適合性証明計画」を踏まえた解析書等の審査および実証審査を行い「適合性判定書」発行による認証が行われる。実証審査は費用・時間・手間が膨大となるためDX化には強いニーズがあるものの、接着接合箇所における力学的なばらつきや長期耐久性における基本データの不足等、信頼性に課題が残されている。本報告では、高い信頼性を要求される民間航空機の型式認証におけるDX化への課題について論ずる。
(3)機械設備の生産性向上を目指した振動・音/電流/組立て精度等による総合診断技術の動き  渡部幸夫(日本精工)
製品の品質低下検知や余寿命予測のもとに対策をするうえで、劣化原因の根本原因究明、忘れがちな対策の評価、加工条件や機械の組立て精度や設計改善の提言をする総合診断が必要である。種々の劣化要因の関連性を傾向予測し、故障事例や機械の癖等の知識を連携して診断するための、簡便に知識を蓄積し利用継承発展できるツールについて論じる。
(4)エネルギー・インフラ機器のデジタル保全・寿命診断技術  中谷祐二郎(東芝エネルギーシステムズ)
IoTやAIを利用したCPS(Cyber Physical System)を機器の保全・診断に適用し、新たな価値を生み出す取り組みが注目されている。長年蓄積されてきたメンテナンスデータを分析することによって、機器の稼働状況と部品寿命の関係をモデル化し、実フィールドから得られる最新の運転データを反映して適切に寿命診断する技術や非破壊検査データをAIが遠隔で判定支援するデジタル保全技術を紹介する。
(5)土木インフラのメンテナンスに関わる現状と課題 岩波光保(東京工業大学)
我々の暮らしや産業の基盤である土木インフラの高経年化が進んでいるが、そのメンテナンスのための予算、人員、技術の不足が指摘されている。今後ますます予算確保が難しくなり、担い手不足が進むことが予測されている中、IT、IoT、AIなどの先進技術の活用による課題解決が期待されている。本話題提供では、土木インフラのメンテナンスに関わる現状と課題を概説したうえで、技術革新による課題解決の可能性について紹介する。
(6)パネルディスカッション モデレーター:井上裕嗣(東工大)
 上記5名のパネリストとともに、各分野が抱える喫緊課題(DX化に向けた課題にも言及)や日本機械学会への要望などについて、総合討論を展開する。


 2021年9月7日(火)9:00~12:00

学会横断テーマ『未来を担う技術人材の育成』
アフターコロナにおける大学教育の質保証

閲覧用YouTubeリンク: https://youtu.be/xkcThZ0I2Ms
司会:山本誠(東京理科大学)
プログラム:
(1)アフターコロナにおける大学教育の質保証
教育システムの質保証1:JABBE 三田 清文(日本技術者教育認定機構(JABEE))

(2)教育システムの質保証2:大学基準協会  松坂 顕範(大学基準協会評価研究部)
(3)卒業生の質保証1:ルーブリック&ポートフォリオによるアセスメント  山田 貴博(横浜国立大学大学院環境情報研究院)
(4)卒業生の質保証2:テスト問題バンクによるアセスメント  深堀 聰子(九州大学教育改革推進本部)
(5)総合討論


9月8日(水) 13:00-16:00

機械と情報通信の融合で人間の能力を拡張する新技術

閲覧用YouTubeリンク: https://youtu.be/S9660GXCCuw
[ 理事会,電子情報通信学会企画]
(1)「ムーンショット目標1がめざす2050年未来社会 -2050年までに,人が身体,脳,空間,時間の制約から解放された社会を実現-」/  萩田 紀博(大阪芸術大学)
(2)「リアルハプティクス -人間の能力を,空間,時間,規模の物理的制約から解放する技術-」  野崎 貴裕(慶應義塾大学)
(3)「人間と機械の身体的な融合BodySharing による体験共有」  玉城 絵美(琉球大学,H2L 株式会社代表取締役)
(4)「A-P モデルに基づき,身体機能とエンゲージメントを高める人間拡張研究」  持丸 正明(産業技術総合研究所)
(5)「主観と客観とのすり合わせによる身体運動パフォーマンス向上」  三上 弾(工学院大学)
(6)「運動支援力覚提示スーツによるサイバー・フィジカル・オーグメンテーション」  栗田 雄一(広島大学)
(7)「クロスモーダル処理技術が統合する視覚・言語・ロボット制御技術の未来」  橋本 敦史(オムロンサイニックエックス)
(8)パネルディスカッション


9月8日(水) 13:00-17:25

『大型機械構造物の安全化と自然災害への対応』

閲覧用YouTubeリンク: https://youtu.be/Ct1gzoqE_as
[ 理事会,クレーン協会 企画 交通・物流部門,材料力学部門,機械力学・計測制御部門,産業・化学機械と安全部門 協力]
(1)【基調講演】「クレーンの耐震性能と限界状態設計法」  小林 信之(青山学院大学)
(2)「港湾クレーンにおける積層ゴム免震装置の非線形特性の影響評価」  古屋 治(東京電機大学),皆川 佳祐(埼玉工業大学)
(3)「製鉄所におけるクレーンの強風対策」  石井 弘幸(日本製鉄),岩間 惇(日本製鉄)
(4)「クレーンの風に対する安全管理」  香川 英一(日本クレーン協会)
(5)「複数のひずみセンサーによる疲労き裂検知」  宮崎 信弥(IHI)
(6)「鉄塔建設用組立工具について」  川崎 伯晃(三和テッキ)
(7)「はじめての機能安全」  松尾 智志(テュフズードジャパン)
(8)総合討論