第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理1

2024年6月22日(土) 14:00 〜 15:10 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:髙橋 典彦(岩見沢市立総合病院)

14:50 〜 15:00

[93] 汎用輸液ポンプシステムの違いによる看護業務軽減に関する検討

廣勢 健二, 土屋 陽平, 高見澤 和樹, 塚本 功 (埼玉医科大学国際医療センター ME サービス部)

【目的】
汎用輸液ポンプは設定流量で正確な投与が持続的に可能なため,微量の流量誤差によって重篤な副作用が起き得る化学療法では必須のデバイスである.化学療法の実施件数は年々増加傾向であり,複数薬を組み合わせて使用する多剤併用療法も実施されることから,看護師の業務負担が増加している.そのため,業務の効率化を図る一つの策として,高使用頻度の輸液ポンプの操作性を向上させることが重要である.そこで,我々はデバイスの選択によって看護業務の効率が上がることを証明することを目的に,TE-281N(テルモ社)と遠隔監視システム/滴落センサが装備されたIP-100(JMS社)を用いて比較検討した.
【方法】
対象はTE-281N単独と遠隔監視システムならびに滴落センサが装備されたIP-100とし,外来化学療法室で使用した.検討項目は遠隔監視システム有無に対する評価としてアラーム発報から対応までの時間,滴落センサ有無の評価として患者移動時の気泡センサ発報回数,バッグ交換にかかる時間とし,保存された操作履歴(TE-281N:100件,IP-100:1,000件)を用いて検証した.なお,バッグ交換の定義は(1)積算量クリア(2)予定量または薬剤の変更に伴う流量変更とし,計測方法はアラームで輸液終了もしくは停止ボタンが押された後,開始ボタンが押されるまでの時間とした.
【結果】
アラーム発報から対応までの時間は,120秒未満においてTE-281N:73 % に比べIP-100: 86%が有意に高率であった.患者移動時の気泡センサ発報回数はTE-281N:0/65回,IP-100: 0/249回であった.バッグ交換にかかる時間は TE-281N:117±58秒に比べIP-100:88±51秒が有意に短く,120秒未満ではTE-281N:54%に比べIP-100:77%が有意に高率であった.
【結語】
バッグ交換の作業時間を短縮できる汎用輸液ポンプシステムは,看護業務の効率化につながると考えられた.