第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

腎臓

腎臓

2014年9月18日(木) 14:40 〜 15:40 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:陣崎雅弘(慶應義塾大学医学部 放射線診断科)

[O-1-093] 拡散強調MRIと腎機能との相関;統計学的モデルを用いた初期経験

山田謙太郎1, 新本弘1, 石切山拓也2, 熊谷裕生2, 加地辰美1, 押尾晃一3 (1.防衛医科大学校 放射線医学講座, 2.防衛医科大学校 腎臓内分泌内科, 3.慶應義塾大学医学部 放射線診断科)

【目的】腎機能(eGFR)の悪化に伴い、拡散MRIで腎のADCが減少する事が報告されている。拡散MRIではさまざまなnon-Gaussianモデルが提唱されているが、統計学的モデルはADCが連続して分布すると仮定するモデルである。今回我々は統計学的モデルを用いて拡散MRIとeGFRとの相関を検討した。
【方法】統計学的モデルは切断正規分布、ガンマ分布を別々に解析した。ADCが切断正規分布に従う時、MR信号はS(b) = S0 exp(-b Dm2b2/2)、ガンマ分布に従う時S(b) = S0 βα/ (β+ b)αとなる。但しDmは確率密度関数が最大となるADC値、α: shape parameter、β: rate parameter。対象は正常ボランティア8名(男性5名、女性3名。平均39歳、29-54歳)、腎疾患にて加療中の患者9名(男性6名、女性3名。平均68歳、48-83歳)。eGFRは日本腎臓学会にて用いられている推算式を用いて算出した。3T MRI (Acheiva, Philips)を用いてb = 0, 500, 1000, 1500, 2000 s/mm2のDWIを撮像し、皮質と髄質にROIをとり信号強度を測定し自作ソフトで解析した。切断正規分布及びガンマ分布でのフィッティング精度をF検定を用いて比較した。また皮質・髄質でD>3.0 mm2/s、D<1.0 mm2/sの割合(Frac>3, Frac<1)を計算し、スピアマンの順位相関検定を用いeGFRと算出したパラメータとの相関係数を求めた。
【結果】切断正規分布及びガンマ分布のカーブフィッティングの精度は皮質、髄質とも有意差は認めなかった。eGFRは正常ボランティア群で84.6 ml/min/1.73m2 (73.2-108.9)、患者群で32.5 ml/min/1.73m2 (6.3-46.5)であった。切断正規分布における皮質・髄質のFrac>3およびFrac<1とeGFRの相関係数は皮質Frac>3; 0.67, 皮質Frac<1; -0.80, 髄質Frac>3; 0.72, 髄質Frac<1; -0.38であり、髄質のFrac<1を除いてeGFRとの間に良好な相関関係が認められた。
【結論】統計学的モデルを用いた拡散強調MRIは腎機能評価の一つの方法となりえる可能性が示唆された。