第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

頭頸部

頭頸部

2014年9月18日(木) 11:30 〜 12:00 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:小玉隆男(宮崎県立宮崎病院 放射線科)

[O-1-114] 外側半規管形成異常例における前庭内リンパ腔の大きさの検討

長縄慎二1, 川井恒1, 曾根三千彦2, 池田充3 (1.名古屋大学医学部 放射線科, 2.名古屋大学医学部 耳鼻咽喉科, 3.名古屋大学医学部 保健学科)

【目的】内耳奇形のうち、外側半規管低形成、無形成は最もよくみられる。しかし、この病態における前庭内リンパの大きさはよく知られていない。今回の目的は、外側半規管低形成、無形成例において、前庭内リンパ腔の前庭全リンパ腔に対する割合を測定し、同様の症状を持つものの、外側半規管形成異常のない例をコントロールとして比較することである。【対象と方法】当院で内リンパ水腫評価目的に撮像された1100例のMR画像から外側半規管無形成群7耳、低形成群8耳(両側異常例4例、片側異常例7例、年齢20-83才)を抽出した。コントロール群は同時期に内リンパ水腫評価を受けたうち上記年齢範囲の13名26耳をランダムに抽出した。異常例2例で鼓室内Gd注入24時間後に、ほか全例では、通常量Gd静注4時間後に撮像。外側半規管の中心骨島最大面積が軸位断で7mm2より小さいものを形成異常とし、骨島が確認できないもの(0mm2)を無形成、7mm2より小さいが、わずかでも確認できるものは低形成とした。軸位断の水強調画像上で、外側半規管と前庭を囲む最大ROIから中心骨島面積を引いたものを前庭全面積(TLA)とした。無形成群では、拡張し外側半規管と一体となった部分をTLAとした。内リンパ腔は3D-FLAIRかHYDROPS2画像でGd造影剤の移行がみられない低信号領域とし、その面積を内リンパ面積(ELA)とした。%EL=ELA/TLA x 100とした。%ELと中心島面積、蝸牛内リンパ水腫の程度(なし、軽度、著明), 聴力レベル(dB), 回転性めまい発作の有無の関係を有意レベル5%で検討した。【結果】平均%ELは無形成群76.7%, 低形成群50.0%, コントロール群27.8%で3群の%ELに有意差があり、中心島面積と%ELに間に比較的強い負の相関があった(r=-0.767)。3群間に聴力、蝸牛水腫の程度、めまいの有無に有意差はなかった。【結論】外側半規管形成異常例では、症状によらず、%ELがコントロール群よりも大きいことが示唆された。現在用いられている前庭の内リンパ水腫判定基準(著明な内リンパ水腫は%EL 50%以上)は、外側半規管形成異常例では、適切ではないと考えられた。