第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

拡散-技術

拡散-技術

2014年9月19日(金) 09:30 〜 10:20 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:宮地利明(金沢大学医薬保健研究域 保健学系)

[O-2-140] 局所励起法を用いた拡散強調画像のゆがみ低減へのこころみ:眼窩―傍鞍部での初期検討

森暢幸, 山崎良, 日浦之和, 三田裕樹, 中村匡希, 小田晃義, 西岡真美, 野間恵之 (天理よろづ相談所病院 放射線部)

【目的】拡散強調画像(DWI)は種々の疾患において臨床応用されて久しいが、EPIを用いる原理上、空気や骨等の磁化率アーチファクトに伴うゆがみ等の画質悪化は避けられない。局所励起法を用いたMRIでは、励起する領域を物理的に絞ることで、小さいFOVを設定して位相エンコーディングステップを減らし、時間短縮した上で、高解像度かつ折り返しの少ない画像が得られる。今回我々は、本来磁化率アーチファクトの多い眼窩―傍鞍部領域にて、DWIに局所励起法を用いること(ZOOMit DWI、zDWI)がもたらす画質向上や、その条件の最適化について検討した。
【方法】3T MR撮像装置(Siemens, Skyra)で、6名の健常ボランティアを撮像。左右の視神経の長軸に対して直交する断面を設定、両側視神経を位相エンコーティング方向の中心とした。ボクセルサイズを1.3mm×1.3mm、周波数方向FOVを200mm、スライス厚を4mm、バンド幅を1515Hzに固定した上、位相方向FOVを100・75・50・30%に設定した4通りのzDWIを撮像。画像中心を同一にしたSTIR像との対比で、視神経の位置ずれにつき比較検討を行った。次いで、位相方向FOVを30%と固定したzDWIを、頭側および尾側方向にずらして視神経がFOVの下半・中心・上半に含まれる状態で撮像、画像中心を同一にしたSTIR像との対比で、視神経の位置ずれにつき比較検討を行った。
【成績】zDWIおよびSTIR像との間では、位相方向FOVを低下させるにつれ、位相方向の位置ずれは軽減する傾向が見られた。この時、周波数方向の視神経の位置ずれはほとんど見られなかった。次いで位相方向FOVを30%に固定したzDWIでは、視神経がFOVの下半にある場合(副鼻腔の空気がFOVに含まれる割合が少ない場合)に視神経の位置ずれが最小となった。
【結論】眼窩-傍鞍部におけるDWIでの磁化率アーチファクトに伴う画像のゆがみは、zDWIによりもたらされるFOV縮小と位相エンコーディングステップ減少によって低減される。縮小したFOVの置き方を工夫して空気や骨の含まれる量を減らすことで、さらなる磁化率アーチファクト低減効果を期待しうる。