第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

fMRI-疾患

fMRI-疾患

2014年9月19日(金) 14:20 〜 15:00 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:田中忠蔵(洛和ヴィライリオス)

[O-2-158] 統合失調症における安静時脳ネットワーク研究 -resting state fMRI 研究-

福永雅喜1, 橋本亮太2,3, 大井一高3, 渡邉嘉之4, 山森英長3,5, 藤本美智子3, 安田由華3, 武田雅俊3 (1.生理学研究所 心理生理学, 2.大阪大学大学院 連合小児発達学研究科, 3.大阪大学大学院 精神医学, 4.大阪大学大学院 放射線医学, 5.大阪大学大学院 分子精神神経学)

【目的】 統合失調症は、主要な精神疾患の1つであり、社会生活に強い影響を及ぼしうる。しかし、現在まで、臨床的に適用可能な、統合失調症のためのバイオマーカーは考案されていない。本研究の目的は、イメージングバイオマーカーの創成を目標に、resting state fMRIを用いて、統合失調症患者と健常者における安静時脳ネットワークの相違を検討することである。
【方法】 統合失調症患者36名(男性:18、女性18、年齢:33.4±12.3歳、罹病期間:13.1±2.1年、発症年齢:23.3±11.2歳)、および年齢、性別が相同する健常者(男性:18、女性18、年齢:32.8±12.8歳)を対象に resting state fMRI 測定を3T MRIにて実施(GE Signa HDxt 3.0T, TR/TE=2s/30ms, 150 volumes)。すべての被験者は、インフォームドコンセントの後、実験に参加した。被験者には、安静閉眼、リラックスしつつも覚醒を保つように指示した。安静時脳ネットワーク活動の検出には、AAL(Automated Anatomical Labeling)より提供される脳各部位のROIの時系列変化を抽出後(DPARSF, http://www.restfmri.net/forum/dparsf)、各領域間の時系列相関性を総当たりで算出し、比較を行った。また、患者、健常者ともほぼ同数の別群にて結果の再現性を検証した。
【結果・考察】 脳各部位の時系列相関性では、全般的な傾向として、健常者に比較し統合失調症において、相関係数の低下がみられた。とくに、右下前頭回、左・右島、右楔前部、左上頭頂小葉、右中心後回、左・右帯状回を seed ROI とする voxelwise correlation において、健常者に比較し統合失調症で有意な相関係数の低下が、2つの患者・健常者データセットにおいて共通してみられた。本研究結果より、fMRI による安静時脳ネットワーク計測が、統合失調症補助診断に向けたイメージングバイオマーカーとして応用しうることを示唆すると考えられた。