第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

心大血管基礎

心大血管基礎

2014年9月19日(金) 13:40 〜 14:20 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:上口貴志(情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター)

[O-2-222] Multi-spectral VISTA による磁性体アーチファクト低減法

梅崎好永1, 米山正己2, 小澤由莉子1, 田渕隆1, 高原太郎3 (1.八重洲クリニック, 2.株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン, 3.東海大学工学部 医用生体工学科)

【背景】整形外科領域において、体内インプラント留置後のフォローアップを行う際に、各部位で生じることが予測されるインピンジ、増殖滑膜の有無、半月板様組織の形成など、被験者のQuality of lifeに関わる情報を得ることが重要となる。しかしMRIではインプラントによる磁化率アーチファクトが画質の低下を招き、インプラント周囲軟部組織の描出不良が問題となる。そのため最近multi-spectral技術を用いたアーチファクト低減法が報告されている。今回我々は、multi-spectral技術と3D高速スピンエコー法であるVISTA法を組み合わせて磁化率アーチファクトを低減することを試みた。
【方法】撮像はPHILIPS社製1.5T MRI(Ingenia)および3.0T MRI(Achieva)を用いた。ファントムとしてベビーオイルと乳化剤を用いて調整した自作ファントムおよびゼラチンを用いて調整した自作ファントムを円柱状の容器に詰め、各容器外側に磁性体としてホッチキスの芯を貼り付けた。撮像シーケンスはプロトン密度強調VISTA法をベースとし、中心周波数を複数変化させて画像を取得し、各周波数にて得られる画像を合算することで磁化率アーチファクトの抑制を試みた。1周波数画像あたりの撮像時間は3分に収まるように調節した。中心周波数を自動シミングとして調整された周波数を0Hzとし、-1000から1000Hzの範囲を100Hz単位で変化させ画像を取得した。磁性体を貼り付けずに撮像した画像を基画像とし、周波数の異なる各画像および、周波数の合算画像についてプロファイルカーブを比較した。
【結果・考察】0Hz画像に加え、±1000Hzまでの画像を複数加算することで磁化率アーチファクトは軽減出来た。しかし、100Hz単位で撮像した全画像を加算することは時間的に問題がある。加算する最適周波数を最適化するためには事前に簡便な2Dでのリファレンススキャンを撮像しあらかじめ合算する周波数を決定する必要があると考えた。この行程により、様々な素材の体内インプラントでも良好な結果が得られる可能性がある。
【結語】multi-spectral VISTA法を用いることで、磁化率アーチファクトが低減できる可能性が示唆された。