[P-1-004] Enhanced-mode DWIを使用した1.5T-MRIによる超高ｂ値 前立腺拡散強調画像の評価
【目的】3T-MRI装置による超高b値 拡散強調画像(以下DWI)は、前立腺癌の診断において高い評価を得ている。我々の目的は、1.5T-MRI装置において超高b値 前立腺DWIの画質を改善し、前立腺癌のスクリーニング検査診断力の向上を計ることである。 【対象と方法】 Achieva 1.5T A-series Dual-gradient systemと16-ch XLトルソコイル (Philips Medical Systems)を使用した。Dual-gradient systemを使用し、最大傾斜磁場強度 を通常の2倍の66mT/m ( slew rate 90mT/m/ ms) に増加したEnhanced-mode DWIで超高b値 前立腺DWI を撮像した。超高b値 前立腺DWIの撮像パラメータを調整するため、自作ファントムのEnhanced modeとNormal modeの超高b値DW画像を撮像し、それぞれを比較、検討した。撮像パラメータを修正したEnhanced mode 超高b値 前立腺DWIは、2012年9月から撮像され、2014年4月までにPSA値が高値（2.7ng/mL以上）と診断された30症例（54～85歳、平均70.5歳）に前立腺癌のスクリーニング検査が施行された。【結果】Normal mode の最大傾斜磁場強度（33mT/m）では超高b値DWIのSN比は低く、b値1000では正常前立腺のDWI信号が高いため、病変部と十分なコントラストが得られなかった。Normal mode と比較し、Enhanced mode超高b値 前立腺DW画像では信号増強とDW画像に見られるT2シャインスルー効果の減衰が見られる。また正常前立腺信号の低下が見られ、診断に有効なコントラストが正常前立腺領域と病変領域において観察された。診断に有用な画像を得るためには、Enhanced modeを使用するだけではなく、特に信号強度、DW画像の分解能に関連するパラメータの調整が重要であった。脂肪抑制法（SPAIR）の選択、パラメータ適正化も画質改善に関与する項目であった。Enhanced mode超高b値DWIを使用開始より、前立腺癌のスクリーニング検査後の生検検査にて陰性診断される症例数の減少がみられた。【結論】Dual-gradient systemを使用した1.5T-MRIのEnhanced mode超高b値 前立腺拡DWIは従来撮像方法よりも画質改善が得られ、前立腺癌のスクリーニング検査において有用な結果が得られた。