第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

心臓-収縮評価

心臓-収縮評価2

Thu. Sep 18, 2014 2:36 PM - 3:06 PM ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:天沼誠(高瀬クリニック 放射線科)

[P-1-023] 心筋Late gadolinium enhancementにおける境界アーチファクトに関する検討

川崎伸一1, 福田泰之1, 尾崎正則2, 杉森博行3, 小木有紗1, 大野肇1, 坂田元道4 (1.市立旭川病院 中央放射線科, 2.GE ヘルスケアジャパン, 3.北海道大学病院 診療支援部, 4.北海道大学大学院保健科学研究院)

【背景・目的】心筋LGE撮像の際に心筋周囲に生じるblack band artifactにしばしば遭遇することがあるが,そのメカニズムに関してはほとんど知られていない.本研究の目的は,LGE撮像シークエンス(IR-2D-FGRE法)において組織境界に生じるblack band artifactの発生要因を明らかにすることである.
【方法】MR装置はSigna HDxt 1.5T (GE Healthcare)を使用した.T1値が約340msの希釈Gd溶液Aおよびオリーブオイルを厚さ0.2mmの密閉容器に封入し周囲をT1値が約470msの希釈Gd溶液Bで満たした自作ファントムをIR-2D-FGRE法で撮像し,black band artifactの発生条件を求めた.検討項目はTE,TIおよびacquisition window内のファントムのnull pointの有無(1RR間隔あたりのview数(view per segment; VPS)で調整)であり,各々を変化させた時の希釈Gd溶液AとB,オリーブオイルと希釈Gd溶液Aの境界の信号変化を観察した(TR : 6.7ms/ TE : 2.25ms, 3.375ms, 4.5ms/ TI : 100~500ms/ VPS : 2, 24/ pixel size : 2.0×2.0mm/ 心拍数 : 80bpm).
【結果】T1値の異なる希釈Gd溶液A, Bのnull point間にTIを設定した場合,境界にblack band artifactが発生したが,TEには依存しなかった.オリーブオイルと希釈Gd溶液Bのnull point間にTIを設定した場合,TE4.5msでblack band artifactが発生し,TE2.25msでは発生しなかった.いずれのblack band artifactもacquisition windowには依存しなかった.
【結論】本研究によりIR-FGRE法において2種類のblack band artifactの発生が確認された.T1値の異なる脂肪以外の組織境界に発生するblack band artifactは,各組織のnull point間にTIを設定した場合に発生する.一方、水と脂肪の境界にはnull point間にTIを設定しかつTEが4.5msでblack band artifactが発生する.水と脂肪のケミカルシフト差は変化しないが,TE=2.25msでin phase,TE=4.5msでopposed phaseとなるためである.読影の際にはこれらの現象を理解しておく必要がある.