第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

その他-血流評価

その他-血流評価

2014年9月18日(木) 15:48 〜 16:12 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:宮崎美津恵(東芝メディカルシステムズ株式会社 MR開発部)

[P-1-037] Phase contrast MRIによる肺高血圧の肺血流評価:息止め法と自由呼吸法の比較

森田佳明1, 山田直明1, 立石恵実1, 三田祥寛1, 福田哲也1, 東将浩1, 内藤博昭1, 辻明弘2, 福井重文2, 大郷剛2, 中西宣文2 (1.国立循環器病研究センター 放射線部, 2.国立循環器病研究センター 心臓血管内科)

【目的】肺高血圧症の重症度や予後判定においては心カテによる平均肺動脈圧(mPAP)や肺血管抵抗(PVR)が重要な指標と考えられている。今回我々はPhase contrast MRI(PC-MRI)で得られるparameterの中で、息止めと安静呼吸を対比し、どれが最も心カテの指標と相関するかを検討した。【方法】対象はCTEPHと診断され心臓MRIを行った18例。 撮影装置はSiemens MAGNETOM Sonata(1.5T)を用い、息止めおよび安静呼吸にてPC-MRIを撮影した。いずれも、弁直上レベルの主肺動脈において心電図同期法にて撮影した(TR/TE= 26msec/3.1msec, FA 15 degree, スライス厚 5mm, FOV 320x240mm, matrix 125x256, VENC 150-200cm/sec,撮影時間15-25 sec)。肺動脈の流速(Peak velocity, Average velocity)・血流量(Forward volume/beat)・Time velocity curveから算出したAT/ET(最高流速までの加速時間 {acceleration time:AT} と駆出時間{ejection time:ET}の比)・Distensibility (拡張率:(最大面積-最小面積/最大面積)に関して、呼吸法による違いを比較した。また、PC-MRIでえられた各parameterと心カテによるmPAPおよびPVRとの相関を検討した。【結果】息止め下における肺動脈の流速と血流量は安静呼吸法と比較して有意に減少しており(いずれもp<0.05)、息止め下のAT/ETは有意に短縮していた(p<0.01)。一方、Distensibilityは両者で有意な差はみられなかった(p=0.448)。mPAPとの相関では、安静呼吸のAT/ETが最も高い相関がみられた(安静呼吸:r=-0.5215, p=0.0265、息止め:r=-0.3807, p=0.119)。流速・流量に関しても安静呼吸のほうが息止め下よりも相関が高い傾向であった。一方、PVRとの相関では、息止め下のDistensibilityが安静呼吸より高い相関がみられた(息止め:r=-0.6135,p=0.0068、安静呼吸:r=-0.2808,p= 0.2589)。【結論】肺血流の評価では呼吸法の違いによる影響を考慮する必要がある。今回のPC-MRIによる肺高血圧症の検討では、mPAPは安静呼吸下でのAT/ET、PVRは息止め下のDistensibilityが良い指標となる可能性が示唆された。