第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

脳・脊髄-拡散基礎

脳・脊髄-拡散基礎1

Thu. Sep 18, 2014 3:42 PM - 4:24 PM ポスター会場 (5F 通路)

座長:藤原英明(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻)

[P-1-085] Diffusion kurtosis imagingにおけるblurringおよび計算アーチファクト低減手法

横沢俊1, 越智久晃1, 尾藤良孝2, 伊藤賢司3, 佐々木真理3 (1.(株)日立製作所 中央研究所, 2.株式会社日立メディコ MRIシステム本部, 3.岩手医科大学医歯薬総合研究所 超高磁場MRI診断・病態研究部門)

【背景】Diffusion kurtosis imaging (DKI)は,非正規分布の拡散モデルを用いた拡散イメージング手法の一つであり,従来のDTIと比し,軽微な白質・灰白質病変などの検出能向上が期待されている[1].しかし,DKIの解析は,DTIと比較してノイズに対する頑健性が低く,計算アーチファクトが発生しやすい.一般的に,前処理における平滑化フィルターの適用により頑健性は向上するが,画像のblurring発生が課題となる.本研究では,blurringを発生させずに計算アーチファクトを抑制するDKIの解析手法について検討した.
【方法】本手法は,制約無しの非線形最小二乗法にて拡散係数と尖度係数を推定し,制約条件の範囲外に算出された係数について平滑化フィルターを適用したデータを用いて再計算する.5名の健常ボランティア(男性,26-45歳)を対象に,1.5 T MRI装置(ECHELON Vega, 日立メディコ)を用いて,MPG 21軸,b値1000, 2500 s/mm2,2NEXのDTIを2回撮像した.解析では,平滑化処理無しの手法,全データに平滑化処理を適用した手法,提案手法の三つの手法にてMK画像を算出した.計算アーチファクトおよびblurringを視覚的に評価し,2回計測の再現性をICC(intraclass correlation coefficient)にて評価した.
【結果】提案手法のMK画像は,平滑化処理無しのMK画像と比較して,blurringが同等であるにもかかわらず,2回計測の再現性が有意に高く(ICC: 提案手法, 0.77±0.076; 平滑化処理無し, 0.73±0.079),計算アーチファクトが改善されていた.全データに平滑化処理を適用したMK画像は,平滑化の強度に応じて2回計測の再現性が向上するが,blurringが顕著となった.同等の再現性(ICC: 全データ平滑化, 0.76±0.080)で比較した場合,提案手法のMK画像は,全データを平滑化処理したMK画像と比較して,blurringが小さく計算アーチファクトが改善されていた.
【結論】本研究により,DKI解析において頑健性の高い処理が可能であることが明らかとなり,臨床応用実現の可能性が示された.
[1]Jensen JH. MRM. 2005;53:1432-40.