第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳・脊髄-灌流その他

脳・脊髄-灌流その他

2014年9月19日(金) 10:00 〜 10:36 ポスター会場 (5F 通路)

座長:野口智幸(国立国際医療研究センター病院 放射線診断科)

[P-2-181] pCASLを用いた脳血流画像におけるlong labelingによるS/Nの向上とarterial transit timeによる影響の低減

藤原康博1, 木村浩彦2, 松田豪3, 金本雅行4, 土田龍郎2, 都司和伸2, 東村亨治1 (1.京都大学医学部附属病院 放射線部, 2.福井大学医学部 放射線科, 3.GEヘルスケアジャパン, 4.福井大学医学部附属病院 放射線部)

[目的] arterial spin labeling(ASL)で得られる信号は,血流の多寡だけでなくスピンが組織に到達する時間(arterial transit time: ATT)にも依存する.この影響を低減するため,post label delay(PLD)を延長させて撮像を行うが,画像のS/Nが大きく低下する.また,複数のPLDの画像から血流評価を行う場合もあるが,撮像時間の延長を伴う.そこで,従来よりもラベル時間を延長させることで,単一のPLDにおいてATTの影響を低減しつつ,高いS/Nを得るための至適な撮像条件を検討した.[方法] はじめに,信号シミュレーションによってラベル時間とATTを変化させたときのΔMおよび撮像時間を考慮したS/Nを算出した.次に,GEヘルスケア社製 Discovery 750 3.0Tを用いて健常ボランティア(若年成人5名および高齢者10名)を対象にラベル時間とPLDを変化させた複数の組み合わせでpCASLを撮像し,血管支配域ごとにΔM, rCBF, ATTを測定した.さらに,測定したATTによって到達時間を補正したrCBF値を求め,単一のPLDから算出したrCBF値と比較した.[結果および考察] 信号シミュレーションの結果より,ラベル時間が長いほど高い信号が得られ,PLDを延長させた場合のS/N低下を補うことが可能と考えられた.生体による検討でも同様に,ラベル時間を延長することで,S/Nが大きく向上した.若年成人ではATTが最も長い領域でも1.4秒であったが,高齢者では若年者と比較してATTが平均0.23秒(18%)延長したことからラベル時間3.0~4.0秒+PLD2.0秒の組み合わせが最も効率的な撮像条件であることが示唆された.