第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳・脊髄-技術

脳・脊髄-技術

2014年9月19日(金) 10:36 〜 11:06 ポスター会場 (5F 通路)

座長:森墾(東京大学大学院医学系研究科 生体物理医学専攻放射線医学講座放射線診断学分野)

[P-2-187] Double Inversion Recovery撮像条件の最適化および初期臨床使用経験

宮武祐士1, 中田直1, 鎌田靖章1, 高橋優子1, 本城尚美2, 池田和代3 (1.医療法人社団新進会おさか脳神経外科病院, 2.おさか脳神経外科病院 放射線科, 3.香川大学医学部付属病院 神経内科)

【背景・目的】Double Inversion Recovery (DIR)は、プリパルスとしてTIの異なるIRパルスを2回印加することでT1値の異なる2種類の組織信号を抑制する技術であり、脱髄性疾患に代表される白質病変のコントラスト増大効果が知られている。装置の更新に伴い、当院でもDIRが使用可能となり、白質抑制画像を得るために、撮像条件の最適化を行い、臨床においてSPACE-FLAIR(脂肪抑制併用)との比較検討を行った。【方法】使用機器はSIEMENS社製MAGNETOM Verio B19 3.0T, 32ch-Head Coil。撮像時間を考慮し、TR / TE = 5500 / 90 msとした。1st TI(白質) は450 msと固定のため、可変パラメータである脳脊髄液(CSF)抑制に関与する2nd TI及びSlice turbo factor (TF)について同意を得た健常ボランティアにて検討を行った。CSFの信号強度曲線と視覚評価により最適値を決定した。臨床例は、多発性硬化症 (MS)にて治療中の11例に対し3D-FLAIR, 最適化された3D-DIRを撮影し、得られた画像について診療放射線技師、放射線科医、神経内科医による視覚評価を行った。視覚評価は5段階評価(5 : 明瞭, …, 1:不明瞭)とし、1.白質病変の検出、2.皮髄境界の描出について3D-FLAIR, 3D-DIRをそれぞれスコア化した。【結果】TIを変化させたCSFの信号強度曲線と視覚評価の結果は一致し、最適TIは2500 msに決定した。TFが増加するにつれてSNRが低下した。撮像時間を考慮し最適factorを3に決定した。臨床画像の視覚評価ではDIRが優れていた。【考察】TFの増加による画質低下は、Echo train durationの延長によってデータ収集時間が長くなり、ブラーリングが発生、SNRが低下したと考える。臨床画像評価では、正常白質信号とCSF信号を抑制することで白質内や脳室周囲の異常信号を明瞭に描出できたことが視覚評価の結果を反映しているものと考える。薄いスライスを用いて白質と灰白質を区別することで、白質内病変を明瞭に描出することが期待できる。また、volume撮像により多断面で確認できることから、MSなどの病変の拾いあげや経過観察などに有用性が高いと考えている。