第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳・脊髄-技術

脳・脊髄-技術

2014年9月19日(金) 10:36 〜 11:06 ポスター会場 (5F 通路)

座長:森墾(東京大学大学院医学系研究科 生体物理医学専攻放射線医学講座放射線診断学分野)

[P-2-189] 天井懸架移動式高磁場術中MRIにおけるフレックスコイルの特性の検討

山田功二, 新藤雅司, 石森貴夫, 平野雄二, 鴇威人, 横田浩 (筑波大学附属病院 放射線部)

【目的】当院では2013年1月より、日本初のシステムとなる天井懸架移動式高磁場術中MRIを導入した。天井レールに吊るされたマグネットを移動させることにより、患者及び寝台を移動させることなく安全に術中撮像が可能になるシステムである。術中撮像用のコイルは2つのフレックスコイルであり、1つは頭部のピン固定後に予め下側に固定し、手術が終了するまで固定したままである。もう1つは撮像時のみ下側のコイルに合わせて上側に配置する。しかし、腫瘍の場所や手術方式によりポジショニングが毎回異なる点や、厳重にドレーピングされている為、下側のコイルの位置が正確に把握できない点等により、満足にコイルを対向に配置できないこともある。そこで今回我々は想定可能な様々な状況下において、フレックスコイルの特性の検討を行った。【方法】IMRIS社製VISIUS Surgical Theatre1.5T、8chフレックスコイル、JISファントム(95-1108Z型)を用い、ファントムを対向に挟んだ状態で、上側のコイルのみをZ軸方向に沿って+6cm、+3cm、-3cm、-6cm(頭側を+、足側を-)スライドさせて各位置において撮像を行った。同様にX軸方向に+5cm、-5cm(右側を+、左側を-)スライドさせて各位置において撮像を行った。かつ寝台もアイソセンタを0cmとし、Y軸方向に沿って上方に+3cm、+5cm移動させて撮像を行った。評価項目はSNR、g‐factor、均一性、感度分布、画像歪みとし検討を行った。【結果及び考察】SNRはZ軸+6cm、X軸+5cmのとき最大に低下し、アイソセンタでのSNRと比較して約9.6%低下した。Y軸方向へのずれでのSNR低下はほぼなかった。全均一性は、それぞれのずれがあった場合でもアイソセンタでの全均一性と比較して低下はほぼなかった。画像歪みはいずれの条件でも5%以内であった。今回我々が想定した様々な状況下において、画質は保持された。厳しいポジショニングが予想される術中撮像においても、良好な画像が得られることが示唆された。今回の検討により、フレックスコイルの特性を十分理解することが出来た。また、全身麻酔の掛かった患者を移動することなく安全に術中MRI撮像ができ、非常に有効なシステムであると考える。