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[スポーツ文化-A-03] コロナ禍における「ホストタウン事業」を通した学生の国際理解に関する研究(人)
つくば市・筑波大学におけるスイスチームのアテンド経験に着目して
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)では、国連加盟国を超える206ヶ国が参加をした。東京2020大会は、国境を越えて一つの場所に集まり国際交流のできる絶好の機会であったともいえる。東京2020大会では取り組みの一つとして、グローバル化の推進、地域の活性化等を目的とし、東京2020大会参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図った「ホストタウン事業」が各地方自治体で行われた。しかしながら、コロナウイルスの蔓延により、地域間での交流などといった当初予定していた活動ができないホストタウンやホストタウン事業自体を中止する地方自治体が数多くあった。スイス選手団の受け入れを行った茨城県つくば市でも、当初予定していた事前キャンプ合宿で来日する選手の練習見学会や来日する選手のためのウェルカムイベントの開催が中止になり、選手と市民との交流は難しい状況になった。一方、限られた人数ではあるが、自発的に応募し、アテンドスタッフとして選手補助などの業務をした学生がいたことも事実である。一般に「ホストタウン事業」の目的の達成は難しかったといわれるが、彼ら、彼女らの経験の中には、当初の目的に関わる重要な経験が含まれていたのではないか。本研究では、以上の問題意識に基づき、つくば市のホストタウン事業に関わった学生のアテンド経験に着目し、文献およびインタビュー調査を通して、これら内容を明らかにした。文献研究より、ホストタウン事業の発足経緯と目的、つくば市での受け入れ経緯から活動内容、コロナウイルス対策まで明らかになった。また、インタビュー調査により、ホストタウン事業での活動を通じて、参加した学生達は国際意識に変容があり、オリンピックバリューの理解が促進されていた。これは、コロナ禍で開催された東京2020大会の成果の一端を明示することにつながるものと期待される。