日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】 トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表①

2022年8月31日(水) 11:00 〜 11:47 第1会場 (3号館3階301教室)

座長:内田 若希(九州大学)

11:00 〜 11:15

[競技スポーツ-A-01] もしアスリートがパーソナルコーチングを受けたら(教,方)

大学生アーチェリー選手を対象とした実践事例報告

*青柳 健隆1 (1. 関東学院大学 経済学部)

パーソナルコーチングとは、受け手の目標達成に向けて、対等な関係性で傾聴や質問などを用いた対話を行い、気づきや学び、自発的な行動を引き出すような関わり方である。パーソナルコーチングの場合、コーチはそのスポーツやスポーツ科学に関する知識および経験を有する必要はなく、一般に専門的な技術・戦術の指導やスポーツ科学的な内容の教授が多いスポーツコーチングとは異質なものであると言える。
 パーソナルコーチングは経営者や管理職、または従業員などを対象にビジネス領域で用いられることが多いが、一部ではアスリートへの実践も行われており、パフォーマンス向上やメンタル面などへの好影響が期待されている。しかし、アスリートを対象としたパーソナルコーチングに関する研究は希少である。そこで本研究では、アスリートを対象としたパーソナルコーチングを企画実践し、どのような作用があるのかを探索することを目的とした。大学のアーチェリー部に所属する学生2名(男性1名、女性1名)を対象に、約半年間、10回程度のパーソナルコーチングセッションを行い、終了後に半構造化インタビューを実施した。コーチングを担当したコーチ2名は国際コーチング連盟に認定されたプログラム(ACTP)を受講し、試験を経て取得する資格であるCPCC(Certified Professional Co-Active Coach)を保有していた。いずれもアーチェリーの競技経験はないため、技術や知識、戦術の指導はできないコーチであった。コーチに対しても、介入終了後に半構造化インタビューを実施した。
 インタビューからは、パフォーマンス(得点や安定感)やモチベーションの向上、競技への向き合い方の変化、自己理解や自己一致の進展など、様々な作用の可能性が示唆された。また、チームのマネジメントやチームパフォーマンスへの好影響、競技以外の生活への波及効果についても認識されていた。介入内容およびインタビューの詳細は学会会場にて報告する。