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[学校保健体育-A-03] 大学生の対処資源測定尺度の作成(心)
ストレス対処は多くの研究により効果が検証されるが、ストレス対処に必要とされる対処資源(Lazarus & Folkman,1984)は特に国内において研究はわずかである(栗山・佐々木,2021)。対処資源には、認知的要因、情動的要因、身体的要素が定義され(Hammer&Martin,1985)、他者との交流や競技力向上の工夫が必要となる大学一般体育に影響を受ける可能性がある。上記より本研究では、大学一般体育による対処資源への効果を測定するための尺度作成を目的とした。 尺度草案として、Hammer&Martin(1985)の定義を参考に、大学生が持ちかつ大学一般体育にて影響される可能性を考慮し、認知的要因として自尊感情(島本・石井,2006等)、他者への肯定的態度(天貝,1997等)、楽観性(外山,2013)、情動的要因として感情調整能力(小塩、2002)、社会的要因としてソーシャルキャピタル(芳賀ほか、2017)、情報処理能力(島本・石井,2006)、身体的要因として健康・体力(新規作成)に関連する42項目を収集した。また、基準関連妥当性を検討する項目として、渋倉・森(2002)及び尾関ほか(1991)を参考に、問題焦点型、情動焦点型、回避型を測定する10項目を引用した。 尺度草案について大学生438名(18.8±1.08歳)を対象に質問紙調査を実施した。最尤法・バリマックス回転による因子分析を実施したところ、体力、自尊感情、情報活用能力、ソーシャルキャピタルの4因子が抽出され、内的一貫性、構造的妥当性が確認された(Cronbach’s α=.84~.74,GFI=.93,AGFI=.91, CFI=.94,RMSEA=.05)。次に構成概念妥当性の確認として、ストレス対処との相関を確認したところ、問題焦点型にはすべての対処資源が有意な正の相関(r=.49~.24)を持ち、情動焦点型には体力を除くすべての対処資源が有意な正の相関(r=.22~.25)を持ち、回避型にはすべての対処資源が有意な相関を持たなかった。 今後は、大学一般体育を受講する学生を対象に、本尺度により測定される対処資源を縦断的に検討することで、その効果を検討することが可能となる。