日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】 体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表③

2022年9月1日(木) 14:00 〜 15:03 第11会場 (2号館4階46教室)

座長:柏木 悠(専修大学)

14:16 〜 14:31

[学校保健体育-C-10] 体育授業に適用できる状況判断力の評価方法の検討(教)

*中島 友樹1、後藤 幸弘2 (1. 鹿児島大学、2. 兵庫教育大学名誉教授)

本研究の目的は、バスケットボールを例に体育授業に適用できる状況判断力の評価方法を示すことである。これまで、状況判断力の評価では、コートと人を俯瞰し模式的に示した図や、プレーヤー目線での状況を示した写真、プレーが撮影された動画を視聴させ、その状況でどのような判断をするのかについて回答させる方法が多く用いられてきた。しかし、これらの方法による評価は、運動の遂行を伴わないことから、実際にプレーした際の状況判断と必ずしも同一のものとはならない。また、人・時間・機材的な資源が限られる体育授業に適用するには困難な方法も存在する。
そこで、実際の状況判断に近似し、かつ体育授業で実施可能な評価方法を選定するため、競技レベルの異なる中学生を対象として、攻撃側の意図が反映されやすいアウトナンバーでの攻撃場面(攻撃3人、守備2人)を中心として構成された試合状況を設定し、3つの方法(①コートと人を俯瞰し模式的に示した図、②プレーヤー目線での状況を示したイラスト、③実際にプレー)で回答させ、③との関係について分析した。さらに、判断の根拠について、半構造化インタビューによって得られたことばを分類するとともに、KH Coderを用いた計量テキスト分析によって集計・可視化した。また、集団的技能について、用いたプレーパターン・シュートまでの手数等から分析した。
その結果、①と③で用いたプレーパターンについて、競技レベルの低い者は隔たりが大きく、競技レベルの高い者は隔たりの小さい傾向のあることが示唆された。また、競技レベルの高い者の半構造化インタビューからは、②のイラストでは守備の意図が読み取りにくく、判断の根拠が示しにくいという回答も散見された。これらのことから、状況判断能力の評価方法は、競技レベルによって異なる可能性が示唆された。