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[競技スポーツ-C-01] パワー向上を目的とした漸減負荷プロトコルの開発(生)
パイロットスタディ
背景:Velocity loss トレーニングにおける速度低下が小さいプロトコルはパワーを向上させる(Hickmott et al.2022)。一方、セット内の回数が少なくトレーニング量の確保は難しい。したがって本研究では、セット内で負荷を漸減させることで速度低下を最小限に抑えた漸減負荷プロトコルを提案することを目的とし、トレーニング量を確保するとともに幅広い負荷でのパワー発揮能力の向上を目指す。方法:対象者はトレーニング経験のある男性14名(年齢25.5±3.2歳、身長171.6±3.9cm、体重70.3±6.7kg)とし、低負荷(LL:n=5)、高負荷(HL:n=4)、漸減負荷(SLR:n=5)の3群へランダムに振り分けた。トレーニング期間は週2回3週間とした。プロトコルはベンチプレスで、LLが55%1RMを8回、HLが85%1RMを5回、SLRは85%1RMを2回、70%1RMを2回、55%1RMを2回の計6回を1セットとし、各群それぞれ3セット、休息時間は3分であった。トレーニング量は3群が同等となるように設定した(負荷×回数×セット数)。トレーニング前後にベンチスローを用いた30%、50%、70%1RMのピークパワー(PP)の測定を行った。結果:各群のトレーニング量は3群で同等であった(LL:440、HL:425、SLR:420)。トレーニング後におけるPPの変化率は30%1RMがHL<SLR<LL、50%1RMがLL<SLR<HL、70%1RMがLL<HL<SLRの順で高い変化を示した。結論:SLRにおけるベンチスローのPPは全ての負荷で変化したが、LLやHLと比較して中負荷および低負荷での変化率が低かった。SLRはセッション内における各負荷に対する挙上速度が他の群と比べて低かったため、これらが影響した可能性がある。