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[競技スポーツ-C-07] ゲームパフォーマンスビッグデータに項目反応理論を適用したサッカー集団攻撃技能の達成度評価基準(測)
サッカー選手の集団攻撃技能は実験的な測定が比較的困難であることから、指導者の主観によって測定、評価される傾向が強い。また近年のテクノロジーの発展によって、試合中のプレー結果を測定したゲームパフォーマンスデータが膨大化する傾向が続いており、ビッグデータとしての性質を有するようになった。こうした背景を受けて、本研究はJリーグの攻撃プレーのゲームパフォーマンスビッグデータを用いて、目標基準準拠測定によるサッカーの集団攻撃技能評価法の開発を試みた。対象は2011年のJリーグディヴィジョン1(J1)とディヴィジョン2(J2)の全686試合で測定された1,312,117の攻撃アクションであった。攻撃アクションはドリブル、パス、トラップ、シュートなどの個別アクションとその時の位置座標等から構成される。先行研究の測定項目と、数値データを二値化するための達成基準に基づき、18項目×147,032プレーのバイナリデータセットを構成した(特殊な攻撃パターンで遂行されることがあるため、コーナーキック、ペナルティキック、フリーキックは対象外とした)。項目の局所独立性と、最尤法、オブリミン回転の因子分析によって一次元性を確認し、2パラメータ・ロジスティック・モデルの項目反応理論を分析した。その結果、18項目すべての適合度、テストの適合性、妥当性、信頼性、およびパラメータの不変性が認められ、集団攻撃技能を測定する数理モデルが作成された。最終的に項目困難度に基づき、横方向にゆさぶりをかけ、縦方向に移動し、決定的エリアに進入してシュートするという、攻撃の順序性を有する7要因の達成度評価基準が構成された。