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[健康福祉-C-03] 幼児における腸内細菌叢と運動習慣・体力との関連(測,発)
近年、腸内細菌叢の組成によって代謝産物が変化し、宿主のエネルギー供給や免疫機能に影響を与え、がんや肥満、アレルギー、皮膚疾患、婦人科疾患、自閉症などにつながることが明らかにされている。また、その組成は、食事・運動・睡眠などの生活習慣、ストレス、加齢などによって大きく変化し,かなりの個体差が生じる。ただし、日本人小児における腸内細菌叢と運動習慣や体力との関係は検討されていない。ただし、こうした先行研究は成人を対象に行われており、日本人小児における腸内細菌叢の特性は全く検討されておらず、その特性すら明らかとなっていない。そこで、本研究では、幼児を対象に次世代シーケンサーを用いて腸内細菌叢の組成を分析し、運動習慣や体力との関係を検討することを目的とした。 対象者は、3歳の幼児53名であった。身長と体重を測定し、性別・身長別の標準体重から肥満度を算出した。各対象者から糞便を採便容器にて収集し、細菌16S rRNAを標的とした定量的RT-PCR法による次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析を株式会社サイキンソーに委託した。本研究では、保有菌の種類数、多様性指標、ファーミキューテス門・バクテロイデス門・アクチノバクテリア門・プロテオバクテリア門の比率、ビフィズス菌、乳酸産生菌、酪酸産生菌を検出した。また運動習慣のアンケート調査、25m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの体力測定を腸内細菌叢との関係を検討した。 分析の結果、幼児の菌の種類数が有意に少なく、多様性も低いことが認められた。腸内細菌の各項目と運動習慣、および体力との関係を検討した結果、保有菌の少なさや多様性の低い幼児と運動習慣の未熟に関連性が認められた。今後も小児の腸内細菌叢の組成に関連する因子を検討し、小児の健康の維持増進に寄与したい。