[03心-ポ-41] 大学テニス選手におけるスポーツ傷害の発生要因に関する検討
心理的競技能力からみた傷害発生について
スポーツ傷害の発生要因についてはAndersen and Williams(1988)が「ストレス-傷害モデル」を発表しており、心理的要因からも、スポーツ傷害の発生を検討する必要性がある。そこで本研究では心理的競技能力に着目し、心理的競技能力の各因子・尺度と受傷の有無の関係を検討することを目的とした。調査対象は大学テニス選手男子35名とし、始めにプロフィールとDIPCA.3、J-PATEAに回答させた。その後、約3ヶ月間は毎日継続的に受傷の有無および受傷した際にはその詳細を報告させた。統計処理は、回答に欠損のあった1名を除いた34名について、受傷の有無別にみた心理的競技能力の各分析項目を比較した(対応のないt検定)。次にDIPCA.3とJ-PATEAのそれぞれで受傷の有無を従属変数、心理的競技能力の各分析項目を独立変数とした変数減少法(尤度比)による二項ロジスティック回帰分析を実施した。 その結果、DIPCA.3のリラックス能力(p=0.03)、J-PATEAの自己コントロール(p=0.01)で受傷者群は非受傷者群に比べ有意に低値を示した。また、DIPCA.3を独立変数にした変数減少法(尤度比)による二項ロジスティック回帰分析の結果、抽出された因子はリラックス能力(OR、0.78;p=0.04;95%CI、0.60-0.99)であった。同様にJ-PATEAで抽出された因子は自己コントロール(OR、0.62;p=0.02;95%CI、0.42-0.91)、客観性(OR、2.08;p=0.03;95%CI、1.07-4.06)、目標設定(OR、0.61;p=0.12;95%CI、0.32-1.14)であった。 以上の結果より、大学テニス選手において傷害の発生には、DIPCA.3のリラックス能力の尺度やJ-PATEAの自己コントロール、客観性の因子が関係することが明らかとなった。