日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(奇数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 13:00 〜 14:00 RY452 (良心館4階RY452番教室)

[09方-ポ-57] 60秒全力ペダリングテストを用いた陸上競技短距離走競技者の準備期におけるパワー発揮能力の評価

*山元 康平1,2、内藤 景1,2 (1. 福井工業大学スポーツ健康科学科、2. 福井工業大学ウェルネス&スポーツサイエンスセンター)


【背景】コーチングにおいて、各種テストを用いて競技者の体力を評価し、トレーニングの進捗をモニタリングすることは、試合のない準備期において特に重要である。一方、陸上競技短距離走競技者の準備期における専門的持久力を含めたパワー発揮能力の評価方法は十分に確立されていない。これらのことから本研究では、60秒全力ペダリングテストを用いた陸上競技短距離走競技者の準備期におけるパワー発揮能力の評価の有効性について検討することを目的とした。【方法】被検者は、大学陸上競技部に所属する男性陸上競技短距離走競技者12名とした。11月(準備期前)、2月(準備期中間)、4月(試合期前)に、自転車エルゴメーター(Powermax-VⅢ,コンビウェルネス社製)を用いた60秒間の全力ペダリングテストを行わせた。負荷は11月時点での体重の5%kpとし、3回の測定で同一の負荷を用いた。平均パワーおよびピークパワーの絶対値および体重あたりのパワー、パワー低下率および5秒毎の発揮パワーを評価項目とした。【結果および考察】平均パワーは、全体の平均値ではいずれの時期でも変化はみられなかった。一方、ピークパワー、パワー低下率,5秒毎の発揮パワーは、11月から2月にはピークパワーおよび前半30秒間のパワーがやや低下し、後半のパワーが向上しパワー低下率が向上する傾向がみられた。また、2月から4月にはピークパワーおよび前半30秒間のパワーが向上し、後半のパワーが低下しパワー低下率が低下する傾向がみられた。これらのパワー発揮特性の変化は、それぞれの時期のトレーニング内容を概ね反映していると考えられ、特に初期に持久的能力が低かった被検者は、パワーの持続能力の向上が顕著に顕れていた。これらのことから、60秒全力ペダリングテストを用いて陸上競技短距離走競技者の準備期におけるパワー発揮能力を評価することは有効である可能性が示された。