日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

講演情報

ポスター発表(専門領域別)

専門領域別 » 体育心理学

体育心理学(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 11:00 〜 12:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-08] トランポリン跳躍により垂直跳び高とその自己推定に生じる後効果の経時的消失過程

*井出 拓見1、荒牧 勇1 (1. 中京大学)


トランポリンを跳躍した後に通常の地面で垂直跳びを行うと、普段よりも跳躍高が低下する。また、その際に自分が何㎝跳躍することができたかを主観的に推定すると、低下した実際の跳躍高よりもさらに低い跳躍高を解答してしまう。しかし、垂直跳びの試行回数を重ねるにしたがって跳躍高は回復し、かつ自分の跳躍高を正しく推定できるようになる。これらのことは、身体運動そのものや、身体運動への認知において生じる後効果が、身体運動の試行回数に依存して減少することを示している。これに対して本研究では、身体運動とその認知に生じる後効果が、単なる時間の経過によっても減少するのかを検証する。
 13名の被験者は、トランポリンを跳躍する前後に垂直跳びを行った(Pre測定、Post測定)。Pre測定では、自身の実際の跳躍高が実験者からフィードバックされた。トランポリンを30回跳躍し終えてからPost測定を開始するまでは、トランポリン跳躍終了直後にPost測定を行う0min条件から1分刻みに、4min条件まで設定した。Post測定では垂直跳びを行った際に、Pre測定の跳躍高を参考に、自身の実際の跳躍高(Real Height: RH)が何㎝であったかを主観的に推定し、実験者に口頭で伝えた(Estimated Height: EH)。
 0min条件では、Pre測定に比べてRHが有意に低下し、EHはその低下したRHよりもさらに低下していた。一方で、RHが1min条件において既にPre測定と同じ程度の跳躍高まで回復したのに対して、EHは3min条件においてようやくRHと同等な高さにまで回復した。これらの結果は、身体運動とその認知に生じる後効果は、たとえ身体運動の試行回数を重ねなくても、単に時間が経過するだけで減少すること、そしてそれらは時間の経過によってそれぞれ異なる減少プロセスをたどることが示唆された。