[03心-ポ-42] コロナ禍から現在にかけての大学生の運動実施状況とメンタルヘルスの変化
近年、我が国における青年期の自殺率の高さが問題視されており、自殺の背景となるメンタルヘルスの悪化をどう防ぐかが課題となっている。令和2年の新型コロナウイルス感染症拡大により大きなストレスがかかる状況が続き、20歳~24歳の自殺死亡率の高さは先進国の中でトップとなった(厚生労働省,2022)。身体活動・運動にはメンタルヘルスの改善を促す効果があるが、コロナ禍の影響でスポーツ実施率も低下した(笹川スポーツ財団,2021)。ポストコロナともいえる現在において適切なメンタルヘルス低下防止対策を考えるためには、コロナ禍から現在に至るまでの青年期の運動状況およびメンタルヘルスの傾向を把握する必要があるだろう。
本研究では、健康スポーツ系の学科に所属する大学生314名(男性248名、女性66名)を対象に、令和2年~令和5年にかけて毎年4月~5月に合計4回にわたって質問紙調査を行い、コロナ禍から現在にかけての運動とメンタルヘルスの関連についての変化を検討した。Google Formsにて現在の運動習慣に関するアンケートと精神的健康度診断検査(橋本・徳永,1999)への回答を求め、調査年別・運動習慣の有無別にメンタルヘルスパターンの割合を算出した。
その結果、令和2年のメンタルヘルスは、コロナ禍以前に行われた調査結果(橋本・徳永,1999)と比べて低ストレスを表すはつらつ型とゆうゆう型の合計割合が低く、高ストレスを表すふうふう型とへとへと型の割合はそれぞれ2倍以上高かった。調査年ごとの比較では、令和2年は他の年と比べてへとへと型(ストレス高・生きがい低)の割合が高く、令和3年にはへとへと型の割合が大幅に低下しているものの、その後令和4年、令和5年にかけて徐々に高くなる傾向がみられた。また、運動習慣のある学生は運動習慣のない学生に比べてはつらつ型の割合がた高く、へとへと型の割合が低い傾向がみられた。