[03心-ポ-66] 身体図式の構築から捉えた技術習得過程の特徴
身体性のあり方を捉える試み
現代の体育・スポーツでは科学化が進んだことにより効率の良いトレーニングが行われるようになった。特にICT技術が発展し、手本となる動画を簡単に観ながら技術を習得することができるようになった。しかしながら、その半面、身体を“モノ化”して自身と身体を乖離させてしまう傾向もあるように感じる。動画という付加的なフィードバックを頻繁にかつ正確に得られてしまうことで、自身の身体を道具として扱いすぎしまい、その結果、身体への気づき(身体性の構築)なしに技術を習得してしまっていると言える。身体への気づきなし技術を習得していくことが、停滞した際にその解決をより困難にすることだけでなく、場合によっては体育・スポーツに対する動機の喪失にも繋がっているなど多くの問題の背景になっていると思える。
そこで本研究では、技術習得過程の体験について改めてその特徴を検討することを目的とする。本来、技術を習得するために幾度ものの試行錯誤を繰り返している。そしてその際に技術を習得するだけでなく、“他のもの(身体性など)”も同時に習得している。本研究では、技術習得と同時に得ている“他のもの”を明らかにし、改めて技術習得の意義を検討し直すものである。
本研究では、大学生(40人)にジャグリングやけん玉の技術習得の過程を記録(日誌)してもらい、その記録をもとに身体図式の構築から捉えた技術習得過程の特徴を検討した。練習期間は、3ヶ月間(週に2、3回)とし、練習実施後に実施した内容とその感想を記録してもらった。また、3ヶ月の間に3回のグループ討論をし、各自の課題を確認する機会を設定した。そして、本研究に参加した40人の中から詳細に記録を残していた17名を主な分析対象とした。
学会当日では、大学生がジャグリングやけん玉の技術習得にみられた特徴、特に技能とは異なった“できる”内容の詳細について発表する。