[04生-ポ-24] 暑熱環境下での球技種目を想定した運動時における連日の身体冷却は冷却効果を低下させるか
【背景】我が国の夏季は、35℃を超える暑熱環境が連日観測され、競技者はその中で継続的に練習している。競技者への暑さ対策として、身体冷却の一つであるアイススラリーの摂取は深部体温の上昇や運動能力の低下を抑制することが知られている (Naito et al., 2017; 2022)。しかしながら、これらの報告を含め、身体冷却の研究は一過性の運動のみでしか検討されていないため、連日の暑熱環境下での運動時にも身体冷却が有効かを検討する必要がある。したがって、本研究の目的は暑熱環境下での球技種目を想定した間欠的運動時における連日の身体冷却が体温調節応答および発汗に及ぼす影響を検討することとした。【方法】本研究の被験者は、運動習慣を有する健常成人男性7名であった。運動内容は体重の7.5%負荷の全力ペダリングを5秒、無負荷のペダリングを25秒および30秒の安静を1セットとし、5セット終了毎に1分間の休息を挟んだ。30セット終了後に10分間の休息を行い、計60セット実施した。データは5セット単位ごと (Set 1-12) の平均値とした。身体冷却はアイススラリーを用いて、1分間の休息では1.25 g/kg体重、10分間の休息では7.5 g/kg体重の量を摂取した。対照試行として、5日間の運動前もしくは後に冷却を行わないCON試行 (36℃の飲料摂取) を実施した。測定項目は平均パワー出力、直腸温、平均皮膚温、心拍数、発汗量、汗中Na+濃度であった。【結果】Set 12の直腸温はday1-5全てにおいてCONよりも低値を示した。平均パワー出力、直腸温の上昇度合い、平均皮膚温、心拍数、発汗量および汗中Na+濃度はday1-5において有意な差は認められなかった。【結論】暑熱環境下での球技種目を想定した間欠的運動における連日の身体冷却は直腸温の上昇の抑制効果を低下させないが、発汗の改善も認められなかった。