[11教-ポ-06] 青少年における自然体験活動の心理的効果の検討
令和3年度全国学習・学力調査では、昨今の子どもたちは①自分に自信がない②チャレンジ・挑戦する意欲が低下している③困難に立ち向かう環境がないといった課題があることが示された(広島県教育委員会,2021)。その背景として、グローバル化の影響で携帯電話の所有割合やインターネットとの接触時間が急増している(文部科学省,2014)ことが考えられる。これらの課題を解決するために、自然に触れることで組織の中で行動し個人の置かれた状況を把握できる自然体験活動の重要性が指摘されている(文部科学省,2017;日本キャンプ協会,2018など)。また、意識的にデジタル機器から一定期間離れることで「想像力(創造力)が高まる、五感がさえる、ストレスが減るなどの多くの良い効果がある」(デジタルデトックス協会,2016)とされているデジタルデトックスが注目されている。 このことから、青少年における自立心や社会性の欠如という課題に対して自然体験活動やデジタルデトックスの視点は有効であると考えられる。しかし、自然体験活動とデジタルデトックスの両方の視点からアプローチした先行研究は管見の限り見当たらない。 そこで本研究は、青少年が抱える課題を解消することを見据えて、デジタルデトックスを意図した自然体験活動の効果を検証することを目的とする。事前調査の結果として、対象者における1日の携帯電話使用状況は、8~9時間以上が一番多く、また、70%の対象者が野外活動を通してデジタルデトックスを行ってみたいと肯定的な回答をした。デジタル機器から離れる意思はあるものの、現時点ではデジタル機器から離れていないことが示された。以上を踏まえて、デジタルデトックスを意図した自然体験活動がレジリエンスに及ぼす効果について検証していく。