日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育科教育学/ポスター発表

2023年9月1日(金) 14:45 〜 15:45 RY429 (良心館4階RY429番教室)

[11教-ポ-12] ネット型攻守分離タイプにおける課題解決型学習に関する研究

ICT機器を活用したバレーボール授業に焦点を当てて

*黒明 壮太1、久保 研二1、原 丈貴2 (1. 島根大学大学院 教育学研究科、2. 島根大学 教育学部)


体育授業での球技領域におけるゲーム活動後の課題解決において,ICT機器やデータ等を用いて得られた情報や戦術的知識を根拠としないで,チームの課題や練習方法の考案を行うよう指示することが散見される.また,それらの課題について,個人技能の鍛錬不足へ強制的に帰結させられることも見受けられる.そこで,この課題を解決するために,本研究では,近年,バレーボール日本代表チームが世界で躍進を見せた要因の一つであるデータスカウティングに着目した.ICT機器によるデータスカウティングについて吉田ら(2011),岡部ら(2013)は,ゲーム分析から得られたデータを利活用すれば,チームとしての戦術や戦略を考案するためにも役に立つと指摘している.
 データスカウティングを活用した課題解決において,徐(2021)は,高等学校のバレーボール授業を対象に,ゲームアナリティクス教材の有効性について検討を行っている.しかし,評価対象が質問紙調査のみであるため,生徒の主観でしか有効性が検討されていない.そのため,実施前後で生徒の課題解決及び戦術の変容,それらに基づいた技能発揮の状況といった客観的指標を用いた検討が必要である.そこで,本研究は,ネット型攻守分離タイプにおいて,ICT機器によるデータ活用を用いた課題解決型学習を通して,課題解決の内容や技能発揮の変容を明らかにすることを目的とする.
 研究対象は,高等学校第2学年体育授業男子41名である.教材は,データの採取しやすさ,及び,戦術発揮をしやすい教材で実践するために,キャッチバレーボールを用いた.技能及び戦術発揮については,グリフィンら(1999)のGPAIを用いた.課題解決の変容については,課題解決の時間に行う作戦・振り返りシートの記入内容を基に検討した.さらに,データを用いた課題解決やICT機器の活用の効果に関する質問紙調査を行い,生徒の意識についても検討した.