[13ア-ポ-04] 視覚障がい者を持つ競泳選手の支援者(タッパー)に求められる要因の探索的検討
視覚障がいを持つ競泳選手(以下全盲泳者)が泳ぐ際には、安全確保のため壁の位置を知らせるタッパーと呼ばれる支援者の配置が定められており、タイムを求める泳者にとって重要な合図役にもなる。ただ、国内競技団体中でもタッパー経験者は多くなく、また、経験により技術が培われている現状のため、事前学習が可能なノウハウ等は明らかになっていない。タッパーに関する知見や実施の際に備えておくべき事柄を明らかにし、多くの関係者がタッパーを担当出来るようになれば、全盲泳者が安心して競技ができ、更なる記録向上が目指せる環境作りが可能となる。また、競技レベルの向上のみならず、受傷の軽減や競技人口の増加も期待できる。よって本研究は全盲泳者のより良い競技環境づくりのために、タッパーに求められる要因や事柄を探索的に検討し、現場で活用可能な知見を導き出すことを目的とした。国内競技団体所属の現役タッパー経験者2名に半構造化面接を実施し、得られた発話データをKJ法の手法を参考に分析を行い、発話の整理と要因の抽出を行った。その結果、135のラベルを12のカテゴリーにまとめ、最終的に6つのカテゴリーグループ【選手とのコミュニケーション】、【経験を活用した自己研鑽】、【信頼関係の構築】、【「軸」を持つ】、【タッパーの役割の理解】、【試合時の柔軟な対応力】に要因が集約された。今後は、示された成果をより精緻化し、タッピングの際に意識するべき点としてまとめ、現場に周知していく。それと共に、教育的視点として「タッパー未経験者のタッピング熟達過程の可視化」や、選手側からの視点として「全盲泳者が求めるタッパー像およびタッピング」等の観点から本研究の成果をベースとした研究を継続/発展させ、タッパーの育成および普及に向けた検討を続けていくことが課題である。