岩盤力学

[PY-88] マイクロフォーカスX線CTを用いた地下圏バイオメタン生成に関する褐炭の微細構造変化の観察

^○田中翔¹, 福田大祐², 川崎了², 荒牧憲隆³, 金子勝比古³ (1.北海道大学大学院工学院, 2.北海道大学大学院工学研究院, 3.公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター 幌延地圏環境研究所)

キーワード：褐炭, 過酸化水素, マイクロフォーカスX線CT, 膨潤, 微細構造

これまで，幌延地圏環境研究所の研究によって，北海道北部に分布する褐炭や珪藻質泥岩中でメタン生成菌による地下圏バイオメタン生成の検討がなされてきている．すなわち，過酸化水素水により，褐炭や珪藻質泥岩から低分子量の有機酸を生成し，それをメタン生成菌が代謝することでバイオメタンを生成する試みがなされてきている．そこで，褐炭が過酸化水素水中で有機酸を溶出しながら，変形することが明らかにされてきているが，その変形機構の詳細については明らかにされていない．そのため，本稿ではマイクロフォーカスX線CTを用いて，褐炭内のき裂や空隙といった内部構造の経時変化を観察した結果について報告する．具体的には，立方体状に成形した褐炭の一面を浸潤面となるようにアクリルチューブ内に固定して，その面を過酸化水素水にさらした．その結果，まず，浸潤面からの吸水に伴う褐炭の膨潤が起こり，褐炭内部の微視き裂や空隙が閉塞することを明らかにした．その後，浸潤面から褐炭と過酸化水素水との化学反応に起因する褐炭の変質が生じることを明らかにし，過酸化水素水中での褐炭の変形が主として2段階の変形過程からなることを示した．