日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[A] 防除(物理的・化学的・その他)

2024年3月30日(土) 09:00 〜 11:30 A会場 (橘)

10:30 〜 10:45

[A-31] 赤色防虫ネットを被覆・育苗したトマト苗はアザミウマ類に対する密度抑制効果を示す

◯大矢 武志1、阿部 弘文2、金満 伸央3、廣橋 寿祥2、安部 洋4 (1. JA全農、2. 日本ワイドクロス、3. 共立電照、4. 理研BRC)

赤色防虫ネット「クロスレッド」は,コナジラミ類と比較してアザミウマ類に対して非常に高い防除効果を示すが,その理由はこれまで不明であった.クロスレッドを被覆・育苗したトマト苗にプロヒドロジャスモン(PDJ)を散布処理した場合,従来の白色防虫ネットにより被覆・育苗したトマト苗へ処理した場合と比較してジャスモン酸経路指標遺伝子の発現期間が長くなることが明らかとなった.演者らは,これまでPDJをトマト苗に処理すると,植物がアザミウマ類に加害された場合と同様,ジャスモン酸経路による植物の防御反応が誘導され,アザミウマ類の密度抑制効果を示すことを報告している.このことから,クロスレッドで被覆・育苗したトマト苗では,クロスレッドを透過・散乱することで到達する赤色光が照射されることにより,白色防虫ネット被覆した苗と比較してジャスモン経路による防除反応が長く発現するようになり,その結果,高い防除効果を示すと考えられた.